研究概要 |
山地急斜面の崩壊(山崩れ)に対する森林の抵抗については,従来,林木根系の杭作用あるいは緊縛作用が考えられ いずれも引張り抵抗による作用が重されていた. しかしながら 今回,地中における根系の分布状況を調査したところ,崩壊が発生しやすい凹斜面や風化土層が厚い個所では,根系がすべり面に到達しておらず,また 隣接木の根系間に連結性が無いことが認められて 引張り抵抗による作用が働きにくい状況下にあることが見出された. 一方,森林の崩壊防止機能は,林木の生長と共に経年的に増大することが定量的(統計的)に確かめられており この機構を説明するためには,引張り抵抗以外の作用を考慮することが必要と考えられるに到った. この間の機構を説明するものとし 簡単な模型実験を行ったのであるが (1)土層内の根系ブロックが大となり,その圧縮強度が増大すると崩壊が発生しにくくなることと (2)側方の剪断面内にブロックが分布すると抵抗が増することが新知見として認められた. この機能は林木の生長と共に増大するので崩壊防止機能として有力な要因と考えられる. 次年度以降,根系の分布構成をより適確に把握すると共に その力学的機構を明確にする.
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