研究課題/領域番号 |
62480064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 敬司 九州大学, 農学部, 教授 (20117154)
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研究分担者 |
丸谷 知己 九州大学, 農学部, 助手 (40112320)
綿引 靖 九州大学, 農学部, 助手 (70128114)
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キーワード | 森林の崩壊防止機能 / 根系抵抗 / 杭作用 / 緊縛作用 |
研究概要 |
従来、森林の崩壊防止機能に関しては、材木の垂直根がすべり面に対して果たす杭作用と、隣接木の根系が互いに絡みあって果たす緊縛作用とが重視されているが、昨年度からの調査研究によって否定的な傾向が見出だされている。すなわち、根系の深さは当初の予測より浅く、すべり面に対して遠く及ばず、水平根の拡りも小さくて、隣接木間の根系の接触〜重複確率が低いことが見出だされたのであるが、このような状況は従来の林学常識を破る結果とも考えられるので、さらに慎重な調査必要とするものと感じられた。 本年度は、この意味で結果の精度を上げるため調査数値の増加を計ったのであるが、昨年度とほぼ同様な傾向が得られた結果が得られたことで終わった。新知見としては、細土に乏しい礫質の崩積土層では、安定した保水層を求めて太く深い根系の発達が認められたが、すべり面となる堅硬な基岩面内にはやはり根系が食い入っていないこと。陽性の広葉樹では幼齢期に根の拡張が旺盛で、樹冠半径よりも広い根系半径を示して、緊縛作用の発揮に対して有利な傾向を見せているが、根系密度は小さく、また肝心の壮齢では、その伸長傾向が薄れて、やはり隣接木間のからみ合いが小さくなっていること。また、一般に根系間には住み分けの傾向が強く、むしろからみ合いを避ける傾向が見える等のことが認められた。いずれにしても、根系の杭作用を否定し、緊縛作用を軽視すべき結果となっている。 杭作用、緊縛引張り抵抗に替るものとして、崩落土層の側壁抵抗の存在があり、その役割の大きさを実験によって確かめているが、この抵抗機能が予想以上に大きく、根系による土層のブロック化が抵抗の劣化防止に役立っていることが、ほぼ明確となってきた。
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