研究概要 |
昭和62年度は, 西表島西部地区を対象に, 植生調査を中心におこなった. その結果を要約すると, 次のとおりである. 1.放牧地の植生は, 牛のきっ食状況の中心に, きっ食植物,否きっ食植物のリスト,植生の交遷及び播種牧草について調べた. その結果, きっ食植物は, 木本植物9,草木植物37,否きっ食植物は, 木本植物1,草本植物3種を記録した. 採草はローズ,ガットン,セタリアグラス等を栽培しているが, 混入種と思われるフタシベネズミノオが優占しつつある. 2.農耕地の植生は, 相観が均質・均一と認められる水田24箇所,畑26箇所について調査し, 植物を採集して〓葉標本を作製した. 全出現種は37科140種で, そのうち水田で14科45種,畑で29科95種を記録した. 3.租納及び星立集落の屋敷内(家庭菜園を含む)の自生及び栽培植物について調査をおこない, それぞれの植物について頻度を算出した. 頻度の高い順に列記すると次のとおりである. 租納では, 93科240種, リュウキュウコクタン73%,シマオオタニワタリ65%で, 星立では, 69科192種, フクギ, クロトン79%,テリハボク70%であった. 4.森林の植生は, 立地の異なる箇所に11個のPlotを設け, 林床の植生調査をおこない, 植物を採集して〓葉標本を作製した. 立地のちがいによって出現種も異なるが, 特に海岸林と山地林では, 構成種に差異が認められた. 全出現種は56科105種で, 着生植物及びツル植物は, それぞれ9種であった. 5.森林資源の調査は, 45個の調査箇所を無作為に抽出し, line調査によっておこなった. その結果, 出現樹種は90種で, 熱帯性のリュウキュコクタン, ヒルギ, フクギ等が出現するところに特徴が認められた. 胸高直径別には, 10cm以下の林木が全本数の約80%を占め, 小径木が多いが, その範囲は広く, 最大108cmのものも確認された.
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