研究課題/領域番号 |
62480069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 礼次郎 東京大学, 農学部, 教授 (20011819)
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研究分担者 |
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 助教授 (00104521)
石丸 隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90114371)
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助手 (10165318)
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キーワード | 渦鞭毛藻 / シスト / 休眠 / Protogonyaulax / シストの成熟 / シストの発芽 |
研究概要 |
1.岩手県大船渡湾において周年にわたって環境要因の測定、渦鞭毛藻Protogonyaular tamarensisとP.cate nellaの遊泳細胞・接合子の計数ならびに垂下式トラップによるシストの採集を行った。両積はそれぞれ主に4〜6月と8〜11月に発生していたが、出現時の両積の細胞密度と各環境要因との間には、一次回帰分析では有意な関係は見られなかった。この原因としては、両種の増殖が種固有の生物学的要因により強く左右されていることが考えられた。2.採集されたシストを材料として、その発芽特性を温度条件ならびに保存期間との関係から検討したところ、保存期間が長くなるにつれて培養開始後発芽するまでの日数の変異幅が小さくなる傾向が認められた。これは、採集時にはその成熟程度に固体差のあったシストが、保存期間の経過に伴ってある成熟段階まで成熟し、その段階で停止しているためであると考えられた。この変化と同時に、発芽のモードが認められるまでの実験開始後の日数が、保存の長期化に伴って短くなる傾向が認められた。全体の発芽率は保存の長期化に伴い増加し、保存温度が高い程発芽率の急造する日数は短かった。3.微分干渉顕微鏡及び蛍光顕微鏡を用いて、発芽に至るまでのシスト内の形態の変化を観察した。5〜6月に採集したシストは、10月には大型の赤色体が全く見られなくなり、デンプン粉も大きくなると共にシストの帯状部分のみに認められるようになっていた。この変化と同時にシストの両長端の部分が褐色を呈してくることが確認された。10月以降には色素体が形成され、シストの外壁と原形質の間に隙間ができていた。4.発芽実験の結果からみると、実験開始時の色素体の有無により発芽時期に差がみられ、色素体が形成されている場合には発芽に要する日数は0〜2日と極めて短かかった。発芽に至る日数が短かくなり始める時期は、色素体がシスト内に形成され始める時期と一致していた。
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