1.神経ペプチドが家畜の黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)、及び成長ホルモン(GH)の放出に及ぼす影響をみるため、屠場において牛の視床下部及び下垂体を採取して潅流系にかけた。山羊も研究室において材料を採取し、同様に実験に供した。神経ペプチドのうち試験に用いたのはvasoactive intestinal peptide(VIP)、Substance P(SP)、GH放出因子(GRF)、コレシストキニン(CCK)、ペプタイドヒスチジンイソロイシン(PHI)、AngiotensinII(AII)で、そのほか牛の下垂体後葉抽出物も試験に用いた。潅流液に含まれるLH、PRL、及びGHはラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した。(1)VIPは牛の下垂体前葉に直接作用して10^<-6>Mから10^<-8>Mまでの濃度で、用量に依存したGHを放出し、10^<-6>Mから10^<-7>MではLHを放出した。GRFは10^<-6>Mから10^<-11>Mまでの濃度でGHを放出し、10^<-6>Mから10^<-8>Mまでの濃度では、VIPと異り、潅流中止後にも少くとも80分間は高濃度のGHを放出した。(2)山羊では、同様の潅流系においてVIPは10^<-6>Mから10^<-9>Mの濃度で用量に依存したGHを放出した。(3)去勢雄牛の視床下部一下垂体のin vitro潅流系にCCKを作用させると10^<-8>MではLHの放出を抑制し、10^<-6>Mでは逆にLHの放出を増加させた。(4)PRL放出に関しては、視床下部ー下垂体のin vitro潅流系で、ラットでPRL放出能があるとされるVIP、SPPHI、CCK、AIIのうちSPは逆にPRL放出を抑制し、他のペプチドは無効であった。著しいPRL放出を起こしたのは下垂体後葉抽出物のみで、この抽出物の中に真のPRL放出因子が含まれる可能性が高い。2.シバヤギの脳室内にVIPを注入するとPRLが放出された。3.子豚とシバヤギの視床下部内にPush-Pullカニューレを挿入して脳内を潅流し、潅流液のLHRHをRIAで測定すると、脳内のLHRHは脈動状に放出することを発見した。
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