研究概要 |
前年度で得られた結果を基に次の2つの研究を行った。 1.鶏へのパンテチン給与が血中脂質濃度の低下に関与する機序を検討した。精製飼料と1%コレステロール添加精製飼料およびそれぞれにパンテチン200ppmを添加した4種類の飼料を白レグ雄(8週齢)に給与し実験を行った。その結果、パンテチンを給与した鶏はいづれも胆のうが著しく肥大しており胆汁分泌が活発であることが推察された。血漿中トリグリセリド、コレステロール及びLDLーコレステロール濃度は飼料へのコレステロール添加によって増加したが、パンテチン添加によって低下した。肝臓中コレステロール含量はコレステロール添加飼料によって増加し、パンテチン添加によって低下した。肝臓中の脂肪酸合成関連酵素の活性は飼料へのコレステロール添加によって低い値を示した。肝臓中のHMGーCoA reductase活性はコレステロール添加によって低下したが、同時にパンテチンを添加給与すると増加した。 2.鶏(産卵中と成長中)の単離肝細胞を調整し、これをパンテチンを添加した培養液中で培養し、パンテチンの脂質合成能及びCO_2生成能への影響を検討した。その結果、単離肝細胞による1ー^<14>Cー酢酸からの脂質合成量は添加したパンテチン濃度が高くなるに伴って低下した。パンテチン添加による各脂質画分の合成量はいづれも減少したが、遊離型コレステロールの減少割合がほかの脂質画分に比べて大きかった。1ー^<14>Cー酢酸からのCO_2生成量はパンテチンの添加の増加に伴って徐々に増加した。更にパンテチンと一緒に30分間培養した単離肝細胞でのacetyl-CoA carboxylase,fatty acid synthetase及びHMG-CoA reductaseの活性は、無添加に比べて低かった。これらの結果は、鶏においてパンテチンが肝臓の脂質合成、特にコレステロール合成を抑制する効果のあることをin vitroでの実験においても確認できた。
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