(1)産卵中の鶏に炭水化物源の異なる飼料ヘパンテチンを添加給与し、産卵率、脂質合成、肝臓および腹腔内脂肪蓄積にどのような影響を及ぼすかを検討し、トウモロコシ配合飼料のように肝臓での脂質合成および脂肪含量が高くなるような飼養条件では、飼料にパンテチンを添加することによって、それらを低下させる効果が認められ、同時に血漿中エストジオ-ル濃度も低下した。そしてパンテチンによる肝臓中脂質含量への影響は血漿中エストラジオ-ルを介しているのであろうと推察した。そのため、血漿中エストラジオ-ル濃度が高くならない大麦配合飼料てはパンテチン添加によって、肝臓中の脂質含量への影響が観察されなかったのであろう。 (2)産卵中の鶏を高温環境下(31±3℃)で飼育し、炭水化物源の異なる飼料にパンテチンを添加し、産卵率および脂質合成に及ぼす影響を検討した。産卵中の鶏を高温環境下で飼育したとき、いずれの飼料給与区においてもパンテチン添加によって産卵率が改善された。しかし適温環境下ては、飼料へのパンテチン添加は産卵率に影響を及ぼさなかった。このことはパンテチンは産卵中の鶏がその能力を充分に発揮てきるような条件では効果は認められないが、高温環境下での飼育のように能力を充分に発揮できないような条件下では、生体内でのホルモン分泌などのバランスを整えて、能力を発揮させる効果があるものと考えられた。 (3)パンテチンが鶏の肝臓において、脂質合成に直接影響を及ぼすのかどうかを確認する目的で、鶏の単離肝細胞による脂質合成量は、パンテチンの添加濃度の増加にともない低下した。特にコレステロ-ル合成の低下が大きかった。この結果から、パンテチンは鶏の肝臓での脂質合成、特に脂肪酸およびコレステロ-ルの合成を抑制する効果のあることがin vitroでの実験においても確認できた。
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