研究概要 |
1.[^<15>N]アミノ酸のプライムド連続注入を3から6時間行い, 鶏の体組織の遊離及び蛋白結合標識アミノ酸の同位体濃度の経時的変化から, それぞれの組織におけるin vivoでの蛋白質合成率の測定法を確立した. その際, 同位体濃度の測定にはガスクロマトグラフ質量分析計を使用した. 2.鶏の体組織のなかでも肝臓と卵管は非常に速い蛋白質合成速度を持った組織であること,各組織間の合成率の差は主としてRNAの蛋白質に対する相対的な濃度によって説明されることが明かとなった. 3.卵管の蛋白質合成には卵管膨大部の蛋白質合成が大きな比重を占めること, その膨大部の蛋白質合成は卵黄の通過とともに大きく変動し, 卵黄が漏斗部または膨大部にある時が卵管膨大部自身の蛋白質合成が最大となることが示された. 4.同様な連続注入・分析法と高速液体クロマトグラフの併用でin vivoでの卵管中のオボルブミン合成量測定法の開発に成功した. この方法を用いればin vivoでの卵管における蛋白質合成の機構解析が飛躍的に進展するものと思われる. 5.鶏ヒナを蛋白質含量及び脂肪含量の異なる飼料で6週間飼育し, その間エストロジェンの筋肉中投与ー中止ー再投与を行った. その結果, 特に低蛋白質飼料給与群で卵管の発達が悪かった以外には他の飼料給与区間で大きな差は認められなかった. 今後は, より反応性の高い投与量, 投与方法や品種を用いてさらに検討することが必要であろう. 6.産卵に関する数学的シミュレーションモデルを試作したが,システムとしての反応性や妥当性などの点に依然として多くの点で改良の余地があることが判明した.
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