研究概要 |
1.マウスを使用して, 受精卵(胚)の集合方法を確立するために, 受精卵(胚)の発育時期の検討を行なった. 4細胞期.8細胞期および12〜16細胞期胚を集合して体外培養した結果, 胚盤胞まで発育した割合は, それぞれ85.4,93.8および90.9%と高い値を示した. 2.4細胞期および8細胞期胚の集合・体外培養により得られた胚盤胞の直径と細胞数は対照胚と比較して有意に高い値を示した. しかし, 8細胞期胚の異合・体外培養により得られた胚をRecipientマウスの子宮に移植し, 妊娠18日目に解剖を行なった結果, 生在胎児の体重は, 集合胚と対照胚の間で有意な差はみられなかった. 3.集合胚の凍結保存の可能性を検討する目的で, 8細胞期胚を集合・体外培養して得られた桑実胚をプログラムフリーザーにより凍結保存した. その結果, 融解後の体外培養により73.9%が胚盤胞まで発育した. 4.8細胞期胚を集合・体外培養して得られた桑実胚を凍結保存し, 融解後体外培養により得られた胚盤胞の直径と細胞数は, 対照胚と比較して有意に高い値を示した. また, 少数例だが, 集合胚を凍結保存後に移植し, キメラマウスの作出に成功した. 以上の研究結果から, マウスでは4〜16細胞のどの時期でも集合胚作成は可能であり, 特に, 8細胞期胚では集合胚の凍結保存が可能であることが示された. また, 集合胚は, 移植後18日目までの間に, 胚(胎児)の大きさが調節されるものと考えられた.
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