研究概要 |
多頭数の猫を実験動物として用いることは必ずしも容易でなく,相当期間ケージで飼育して環境に訓化させる必要がある. 現在我々は実験計画に従い約50頭の猫を飼育しているが, 数頭はもらい受けた成猫であり, 他は約300頭の仔猫を飼育して生き残ったものである. 実験に供することのできる多頭数の猫を飼育できることは, 今回の実験遂行上大きな要素であった. 各種の実験および測定法の改良においては, 必ず猫を用いた実験に先行して, 比較的多量に採取できる犬の血液を用いた. 犬と猫の血液細胞の取り扱い法およびその作用は, 厳密には多少異なるが, 総論的には非常に似ており, 犬で得られたデータを参考にして猫での実験をよりスムーズに行うことをこころがけた. その結果今までに似下のような成績を得ている. 1.活性型血中免疫複合体の測定法は, ヒトや犬で用いられているIAHA法をそのまま応用することが可能である. 2.IAHA法を用いて種々の疾患を持つ猫で免疫複合体が検出された. 3.犬および猫の赤血球は, 非常に弱いがFc_6レセプター活性を持っているが, CR_1活性は存在しない. 一方,血小板はFc_6レセプター活性とCR_1活性の両方を有していることが判明した. 4.猫血小板CR_1活性の測定法に関しては, 従来より当研究室で用いていたIAPA法では用いる血小板の数が多い為に, これを改良して血小板の量が小量ですむEIRA法を開発した. 5.血小板のCICクリアランス能に関する実験は, 自然発生例による高CIC猫を用いてPRPを輸入する方法で実施しているが, 現在のところ1回の輸入では顕著なCICの低下は認められず, 輸入量を増すか, 回数を増す必要がある. 以上の他に現在Fe LV感染症を発症させ病状をモニターする目的でFeLVの精製を行っている.
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