研究概要 |
1.猫血小板CR活性能の測定法 前年度に酵素免疫レセプター法を用いて犬血小板CR_1活性能の測定法を開発したが、サンプル量の関係で猫への応用が困難であった為に、これに改良を加え、少量の血小板を用いて、より簡単な操作で測定可能な系を確立した。 2.猫白血病の発症実験を行い、次の結果を得た。 (1)接種するウイルス株の違いにより感染状態に差が生じた。 (2)感染成立後、CICの上昇とCH_<50>の低下が認められた。 (3)感染が成立した猫の中には、ウイルス血症を示すものと、潜伏感染となるものがあった。一旦ウイルス血症となったものにおいても、潜伏感染に移行した例もあった。潜伏感染は、コルチコステロイドの投与によりウイルス血症となり易すかった。 (4)FelV感染後、非特異的細胞性免疫能が抑制されたが、B-CellよりT-Cellの抑制が強かった。 (5)FeL-V-GSA抗体はウイルス接種後1.5〜2週間後に出現し、FOCMA抗体価は2ー3週後に出現しだしたが、感染成立した猫としなかった猫で特に差はなかった。 3.CICを認める猫(FeLV:3頭,糖尿病、膿胸:各1頭、その他3頭)に血小板輸入実験を延べ14回行い次の結果を得た。 (1)CR_1活性の比較的高い血小板を2.2×10^9〜84.0×10^9個輸入し、71.4%においてCICの低下を認めた。 (2)糖尿病猫においては顕著にCICが低下し、臨床症状が改善した。 (3)血小板輸入により抗血小板抗体が出現した例があった。 (4)猫のCICの上昇に、ストレスの関与が示唆された。 今後CICを形成する抗体・抗原の検査をすすめる予定である。
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