研究概要 |
肝臓の類同腔内に内皮及びクッパー細胞と付着してピット細胞(NK細胞)が存在し, 種々のBRMの投与によって, これらNK細胞は肝内に増加するとともに, 個々のNK細胞の分泌機能が亢進している形態学的所見, ならびに肝NK活性の増強が観察された. われわれはまづNK細胞の肝内増加を来たす機序を明らかにするため, BRM投与後の分裂像の増加の有無を観察したが 有意の変動は認められなかった. 一方, BRMのひとつである1カルディアルブラ菌の細胞壁から抽出した糖脂質を投与した実驗では, 肝内に多数のグラニュローマが形成される. このグラニュローマはおもにクッパー細胞とNK細胞(ピット細胞)からなり, 両細胞間は広い範囲にわたって接着している. なかでも, ところどころにセプテートデスモゾーム様の構造が観察される. この構造は OKー432を投与した場合やコントロールの効物では観察されない. このような強固と思われる接着構造のために OKー432投与では認められなかったグラニュローマ形成が起ると考えられる,また この接着によってNK細胞の活性化が起ることが予想され,現在, 肝NK活性の測定を実施中である. また実驗的にラット肝に軽移癌を生じさせ これに対するNK細胞の態度を無処置及びBRM投与群について観察をすすめている. 腫瘍周囲にリンパ球の浸潤を認め そのなかにはNK細胞も観察される. 同様にヒト肝癌組織についても実験で観察中である. 一方BRMによる活性化NK細胞の微細構造を詳細に観察し,分泌果粒の形成と放出について研究をすすめている. またその概念については,昨年の国際化学癌法学会で報告し,従来の定説を是正するものとして注目された.
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