研究概要 |
1.墨摂取マクロファージの追跡:(1)墨静注後コラゲナーゼ処理によって得られた墨摂取脾マクロファージを脾動脈に投与した後の経時的脾切片の観察によって,墨摂取脾マクロファージは脾辺縁帯から赤および白脾髄の2方向に遊走し,白脾髄に侵入したマクロファージはリンパろ胞に好んで入ることが分った(観察継続中). (2)自己免疫病を自然発症するNZBWF_1マウスに墨を静注した後,経時的に胸腺を観察すると,胸腺実質内に墨摂取マクロファージが認められるので,血管の透過性高進によって墨が直接胸腺実質内に入ることが分ったが,面白いのは墨摂取遊走性マクロファージが血管壁を通って実質内に入る所見が得られたことである. 他系のマウスにはこのような現象が認められなかったことから,自己免疫の発症機序と関連して大変興味深い(J.Anat.印刷中). 2.抗原摂取マクロファージの意義:FITC標識フイコールを抗原としてラットに投与すると,抗原は脾辺縁帯マクロファージとmarginalmetallophil(MM)に限って取りこまれ,他の脾マクロファージには摂取されないこと,抗原保有細胞と抗FITC抗体産生細胞(AFC)を二重蛍光法で同時に観察すると,AFCはMMと密接な位置関係において出現すること,BrdUを投与すると,AFC前駆細胞およびAFCはMMとやはり密接な位置関係において分裂増殖することから,これら抗原摂取マクロファージが抗体産生細胞の分化増殖と調節している可能性が強く示唆される結果が得られた(細胞20,1988).
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