研究概要 |
1.墨摂取マクロファージの動態:(1)採集した墨摂取マクロファージを脾動脈に投与した後の経時的脾切片の観察から、マクロファージは脾辺縁帯から赤及び白脾髄の2方向に遊走するが、白脾髄に進入したマクロファージはリンパろ胞に好んで入ることを確認した(論文作成中)(2)マウスに墨を静注した後の経時的胸腺切片の観察から、自己免疫病を自然発症するNZBWF,マウスに限って、胸腺の血管に透過性高進が認められ、墨が直接胸腺実質内に漏出するだけでなく、墨摂取遊走性マクロファージが血管壁を通過した胸腺実質に入ることが示唆された(J.Anat.161,83-93,1988)。(3)そこで墨摂取腹腔マクロファージをマウスに静注して、胸腺の経時的観察を行うと、やはりNZBWF_1マウスに限って、血管壁を通過して胸腺実質に入るマクロファージが確認された(J.Anat.投稿中)。これらの所見は、NZBWF_1マウスにおいて抗原摂取マクロファージが一般循環系から胸腺内に侵入する可能性を示唆しており、自己免疫の発症機序解明に新たな所見を提供するものと思われる。 2.抗原摂取マクロファージの動態と抗体産生細胞の検出:FITC標識フィコールを抗原としてラットに静注すると、抗原は脾辺縁帯マクロファージとmarginal matallophil(MM)に限って取り込まれ、他の脾マクロファージには摂取されないこと、抗原保有細胞と抗FITC抗体産生細胞(AFC)を二重蛍光法で同時に観察すると、AFCはMMと密接な位置関係において出現すること、BrdUを投与すると、AFCはMMとやはり密接な位置関係において分裂増殖することなど得られた所見から、抗原摂取マクロファージ抗体産生細胞の分化増殖との関連性についてさらに研究を進めている(細胞20,23-28,1983)。
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