研究課題/領域番号 |
62480101
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
星 猛 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60004537)
|
研究分担者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70195923)
藤田 暉通 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (20013302)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1989
|
キーワード | カオチン駆動担体 / H^+ / ペプチド共輸送体 / H^+・ペプチド連結比 / H^+勾配形成機構 / 小腸刷子縁膜 / 塩基性アミノ酸能動輸送 / 近位尿細管 / Na^+依存輸送過程 |
研究概要 |
本研究は小腸上皮、腎近位尿細管等栄養素溶質を経上皮性に能動輸送する細胞の膜に存在するカオチン駆動性担体の作動様式の解明を目的とした一連の研究の線上にあるもので、本期間中は特に、(1)H^+駆動動性ペプチド担体の作動様式、(2)その駆動力の形成と維持機構、並びに(3)従来不明であった塩基性アミノ酸能動輸送のカオチン駆動機構の解明に主眼を置いた。(1)に関しては、無Na^+条件下で反転小腸嚢を用いた短絡電流とGlyGlyインフラックスの同時測定実験の結果、H^+/Gly-Glyの連合比は2:1であることが確認された。他のglycyl、alanylジペプチドも全て同一連結比で同一担体で輸送されること、疏水性アミノ酸のみからなるジペプチド、荷電を有するジペプチドは他の独立の担体で輸送されている可能性が示唆された。(2)に関しては、遊離した小腸上皮細胞に9-aminoacridineを平衡させdigitonin平衡法を適用して調べた結果、細胞内pH(pHi)は正常代用液中では7.10〜7.15の範囲にあり、pH感受性微小電極で測定した空腸上皮最表層のpHは6.0で1pHユニット以上のH^+勾配が正常に維持されていること、このpHi最表層酸性pHは共にamilorideに強い感受性を有することからNa^+/H^+逆輸送に強く依存していることが判明した。その意味でH^+/ペプチド共輸送は三次性能動輸送に分類されるが、H^+との連結比、維持されているH^+駆動力の大きさから既知のNa^+駆動共輸送系より更に強い濃度勾配にも逆って基質を輸送しうる系であることが明らかになった。(3)に関し、Triturus近位尿細管で調べた結果、lysineの管腔側膜輸送は起電性の促通拡散で管腔内Na^+,H^+の何れにも依存しないが、側底膜側のNa^+の存在に依存し、側底膜側からのNa^+のインフラックスは予め細胞内にlysineをとり込ませた細胞で明らかに大であることから、側底膜にNa^+/塩基性アミノ酸交換輸送があり、それらが経上皮能動輸送を駆動していることが判明した。
|