研究概要 |
本研究は2ヶ年にわたる研究の初年度であるが,予定された計画に従ってほぼ順調に進行している. 本研究は,神経細胞に特有な細胞形質を,細胞融合法によって上皮細胞に移植することによって,分裂能力のない神経細胞あったのでは解析不能であった性質を, 分裂性の細胞に移し,遺伝子の数を増やし増殖させた〓,遺伝子工学的手段を導入して調べていこうとするものである. 本研究はその第一次段階として,細胞融合に使用するための細胞腫を選定することから開始された. 申請者の過去の経験から,細胞融合に用いる神経細胞として,最も再生能力の大きい脊髄後根神経節細胞を用いた. 融合に使用する上皮細胞として,2種類の細胞が選定された. すなわちNewo ZA,SZOYなどの2・3の神経芽細胞と,マウス由来の皮膚癌細胞であり,これは神経細胞と効率よく細胞融合が生ずることを確認した後,選出した. 第二段階として,この分裂性細胞に8アザグアニン(8AZ)耐性を与えることを行った. 8AZ耐性添加は,これら細胞を同薬〓の存在下で長期間培養することによって,遺伝子用に変化が生じ,別のDNA合成系が開発されることを利用した. 通常の分裂性細胞においては8AZ存在下で細胞は死減するのであるが,8AZの添加を極微量から開始して,ようやく,2つの細胞に8AZ耐性を与えることが出来た. すなわちSZOYと,皮フ癌細胞であった. 別に約20種の細胞に8AZ添加を試みたものの,ことごとく細胞は死減し,耐性を添与することが出来なかった. 現在第三段階であり,これらの細胞を用いて細胞融合と実行しつつある. とりわけ,電気パルスによる細胞融合が効率が良く,頻ぱんに使用している. 末だ,特定のハイブリッド細胞が増殖して来る段階ではないけれど,細胞融合した細胞を用いて,生理的研究,とりわけ膜の形質発現の研究を行いつつある.
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