研究課題/領域番号 |
62480108
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
山田 和廣 大分医科大学, 医学部, 教授 (20053027)
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研究分担者 |
山田 直子 大分医科大学, 医学部(平成元年度), 助手 (60101086)
田之倉 優 大分医科大学, 医学部(昭和62年度), 助手 (60136786)
米谷 快男児 大分医科大学, 医学部(昭和62、63年度), 助教授 (20107387)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 脱鞘筋線維 / ルビ-レ-ザ / caged ATP / ATP / 筋のスティフネス / クロスブリッジ / エチレングリコ-ル / 筋の張力 |
研究概要 |
光化学反応による“caged ATP"からのATPの急速遊離による筋線維の過渡応答から、ATP分解と収縮の動的対応を調べた。このために、巨大パルスルビ-レ-ザその第2高調波(波長347ナノメ-トル、最大パルスエネルギ-約100ミリジュ-ル)を用いた。このための光学系を完成し、またレ-ザ出力の同時測定を行った。続いてcaged ATPの合成を行った。微量のcaged ATP及びATPの定量にはFPLC及びMono Qカラムを用いる方法がよいことがわかった。脱鞘筋線維を保持し、温度制御下にレ-ザ照射によるATPの急速遊離を行い、それによる筋線維の張力過渡応答及びスティフネスの測定を行い、また筋の長さを制御し、溶液を交換するための試料槽を作成した。ウサギ腸腰筋の化学的脱鞘筋線維を、絹の線維を用いてフックに固定し、ルビ-レ-ザ光を照射してcaged ATPからATPを急速に遊離させて、筋線維の張力過渡応答を調べた。筋が硬直状態にあるときATPの遊離によって筋は急速に弛緩し、硬直張力が低下した。同時に500Hzの正弦波による筋のスティフネスの変化をピエゾ素子とロックインアンプを用いて測定した。このような測定の結果、20℃における硬直クロスブリッジの解離の速度定数は約80s^<-1>であった。溶媒である水の10%をエチレングリコ-ルと置換したとき、この解離の速度には影響の無いことが明らかになった。一方、カルシウムの存在下で同様の光照射を行うと、筋は短い弛緩の相に続いて活性張力を発生する。このような記録から、硬直クロスブリッジの解離及び張力発生の速度を知ることができる。その結果も、同様にエチレングリコ-ルによってクロスブリッジの解離の速度が影響を受けないことを示した。一方、張力発生の速度定数は約70s^<-1>であり、エチレングリコ-ル存在下では、約50s^<-1>に低下することが示された。以上の結果は、筋が張力を発生する過程が収縮タンパク分子の溶媒との反応につよく依存していることを示している。
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