研究分担者 |
福島 雅夫 信州大学, 医学部第一内科学, 助手
草間 昌三 信州大学, 医学部第一内科学, 教授 (70020708)
小林 俊夫 信州大学, 医学部第一内科学, 講師
上田 五雨 信州大学, 医学部環境生理学, 教授
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研究概要 |
1986年,中国青海省において,高地に生息しているPikaを2300m(n=13),3300m(n=15),4460m(n=14)の3地点において補獲し,肺循環動態の計測を行った. 1987年には神奈川県,実験動物中央研究所で繁殖しているPikaの供給を受けて,松本(610m)で同様の測定を行った. 比較実験としてラットを用いて,海抜610m,1600m,および2300mの3地点のデーターと比較した. 測定項目は,肺動脈圧,右心室の相対的大きさ(RVW/LVW),ヘマトクリット,赤血球数,赤血球の大きさ,血液粘度,赤血球変形態,酸素消費量についてである. その結果,Fig.1およびFig.2に示すように,Pikaはラットに比して,肺動脈圧および右心室の相対的大きさ(RVW/LVW)は有意に低値を示し,また海抜高度に伴う上昇の度合も著しく少ない. この原因として赤血球の小型化によるヘマトクリフトの低下が関係している. これらのPikaの特徴は,完全高地適応動物として特性をよく現わしている. 今後はこれらの現象をさらに生理・生化学的,また組織学的に詳細に検討して行きたい.
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