研究概要 |
1 ラットの後視床下部からも局所脳温に応答するニューロンが記録され, そのあるものは高い温度閾値を示した. 2 視束前野スライス標本による研究 (1)ニューロンの活動はヒスタミンによって促進され, その結果はメピラミンによって促制される. ヒスタミンがH.ナ_<1.ニ>受容器を介して温感受性ニューロンの大半を促進することを明らかにした. (2)卵巣摘出ラットの標本では温感受性ニューロンはプロゲステロンによって抑制された. 卵巣摘出後エストラジオールを投与したラットの標本ではプロゲステロンの効果が逆転し, 温感受性ニューロン活動は促進された. (3)高炭酸ガス吸入はin vivoのニューロン活動を促進するが, スライスでは逆に抑制的であった. 3 トレッドミル運動時のラットの体温調節. 低速安定走行を可能にしたトレッドミルを試作し, 連続的にO.ナ_<2.ニ>消費量を測定できるシステムを開発した. これを用い環境温4,24,34℃において運動強度と体温上昇の関係をしらべたところ, 相対的運動強度に比例した体温上昇が見られたが, その程度は環境温によって異なることが確かめられ, 運動時の体温調節の研究モデルとして有用であることが明らかとなった. この運動時の体温上昇については発熱と同じようにプロスタグランディンEによって体温のセットポイントが高温側に移動した結果であるという説があるが, プロスタグランディン合成阻害剤であるインドメサシンを投与しても影響は認められなかった. 4 前視床下部加温時に著明な放電頻度の増加を示すニューロンが延髄の唾液核近傍で見出された. 視床下部からの遠心性信号によるものと思われる. 5 高炭酸ガス吸入時には自然呼吸では呼吸循環反射がおこるので, 人工呼吸下で試みたところ, 視束前野ニューロンの温度感受性低下が観察された.
|