研究概要 |
1.リポキシゲナーゼの酵素学的研究:抗リポキシゲナーゼモノクローン抗体を使う免疫親和性クロマトグラフィーで, ブタ白血球から精製した5ーおよび12ーリポキシゲナーゼで調べると, 不飽和脂肪酸の酸素添加反応とヒドロペルオキシ酸のエポキシ化との2つの酵素活性を併せてもつことを, 私達は既に報告している. これらのリポキシゲナーゼを5,15ージヒドロペルオキシ酸と反応させると, リポキシンを生成するも, またその生成が上記の2つの酵素活性で説明できることを明らかにした. 酵素遺伝子クローニングの準備として, 12ーリポキシゲナーゼのアミノ酸配列を部分的に決定し, プローペを作ってcDNAのクローニングを進めている. 2.リポキシゲナーゼの特異的阻害剤の研究:従来開発を続けているフラボン化合物の誘導体を調べるうちに, 5ーヘキシルオキシーサーシリオールがより強力な5ーリポキシゲナーゼ阻害能をもつことを見出し, その水溶性の4′ー燐酸を調製し, 生体レベルの実験に使えるるようにした. この誘導体をスナネズミの脳虚血モデルに適用し, 虚血後の血流再開通に伴うロイコトリエンC_4の生成を調べると, この5ーリポキシゲナーゼの投与によって, ロイコトリエンC_4の生成が抑制された. 3.リポキシゲナーゼの免疫組織化学的研究:抗リポキシゲナーゼ抗体を使った5ーリポキシゲナーゼと12ーリポキシゲナーゼの酵素免疫測定法を設定し, ブタの各組織のそれぞれの酵素含量を測定した. 白血球に圧倒的に高いリポキシゲナーゼ含量を認めた他に, 肺・小腸・胸腺・リンパ節などにも有意量の活性を見出した. 顆粒球で調べると5ーおよび12ーリボキシゲナーゼのいずれも, その細胞質の部分に酵素の局在することが, 免疫電顕で明らかにされている.
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