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1988 年度 実績報告書

交感神経の代謝調節作用を司る新しい伝達因子の分離同定に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 62480128
研究機関愛媛大学

研究代表者

嶋津 孝  愛媛大学, 医学部, 教授 (30090400)

研究分担者 箕越 靖彦  愛媛大学, 医学部, 助手 (10200099)
キーワード交感神経 / 非アドレナリン性伝達因子 / 褐色脂肪細胞 / 脂肪酸合成 / α,βブロッカー / グアネチジン
研究概要

褐色脂肪組織における脂肪酸合成を促進する交感神経の作用が、ノルエピネフリン以外の伝達因子の働きによることを確証するための諸実験ならびに、この伝達因子を分離するために新しい検定法として、褐色脂肪細胞を用いて脂肪酸合成速度を調べることの適否について研究を行ない、以下の知見を得た。
1.ラットの肩甲間褐色脂肪組織に分布する交感神経を、十分な休止期を挟んだバースト状の刺激パターンで電気的に刺激すると、トリグリセリドを構成する脂肪酸の合成速度は著しく亢進し、この効果はαおよびβブロッカーの投与によっても全く阻害されないが、交感神経伝達を阻止するグアネチジンの投与で消失する。
2.他方、連続的な刺激や休止期の短い通常の刺激パターンによる交感神経の刺激は、褐色脂肪組織での脂肪酸合成速度を増加させない。さらに、この刺激パターンの場合、αおよびβブロッカーの投与を行なうと、脂肪酸合成速度の逆転上昇が検出されるようになる。
3.ノルエピネフリンの持続注入は褐色脂肪組織での脂肪酸合成に対して促進作用がない。上記2の実験成績を考え合わせると、交感神経終末から刺激に対応して放出されるノルエピネフリンは脂肪酸合成に対して、むしろ抑制的に作用していると考えられる。
4.以上の成果に基づいて、褐色脂肪組織での脂肪酸合成を促進するノルエピネフリン以外の交感神経伝達因子の分離同定を行なう検定法の開発を試みた。このため、ラットの胎児より得た褐色脂肪細胞を試験管内で継代培養して細胞数を増やし、それを用いて脂肪酸合成を指標にしようとしたが、継代培養によって褐色脂肪細胞の分化した機能の一つである脂肪酸合成能が次第に消失し、本研究目的に適しないことが判明した。今後、分化機能を維持させるための方策が必要である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Y.Minokoshi;M.Saito;T.Shimazu: Journal of Physiology. 398. 361-370 (1988)

  • [文献書誌] A.Takahashi;T.Shimazu: Biomedical Research. 9. 127-131 (1988)

  • [文献書誌] M.Iwai;T.Shimazu: Life Sciences. 42. 1833-1840 (1988)

  • [文献書誌] N.S.Hell;M.Iwai;T.Shimazu: Physiology & Behavior. 43. 383-387 (1988)

  • [文献書誌] N.Ogawa;Y.H.Sora;M.Saito;T.Shimazu: Brain Research. 451. 115-118 (1988)

  • [文献書誌] A.Takeda;M.Kanoh;T.Shimazu;N.Takeuchi: Journal of Biochemistry. 104. 901-907 (1988)

  • [文献書誌] 嶋津孝,斉藤昌之: "神経と代謝調節" 朝倉書店, 1-360 (1988)

  • [文献書誌] 嶋津孝: "講座プロスタグランジン 5.脳と神経" 化学同人, 277-290 (1988)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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