研究概要 |
1.赤血球型δーアミノレブリン酸(ALA)合成酵素の精製:本年度補助金により導入されたFPLCシステムの利用と方法の改良により,ラット綱状赤血球から,ALA合成酵素をより効果的に精製できるようになった. すなわち,綱状赤血球から0.1%TritonXー100/0.1%デオキシコール酸(DOC)存在下で溶血液を調製し,硫安分画(0〜35%)の後,パパイン消化を行い,次に0.05%DOC存在下でヒドロキシアパタイト,ヘパリンセファロース,DEAEートヨパールを用いたカラムクロマトグラフィーで分画し,最後にCoAーアガロースによるアフィニティクロマトグラフィーで精製した. 現在,赤芽球ALA合成酵素精製標品について,部分的なアミノ酸配列の決定並びにポリクローナルおよびモノクローナル抗体の作製を試みている. なお,ニワトリの赤芽球ALA合成酵素の精製は可能ではあるが,極めて収率が低かった. 2.ラット赤芽球ALA合成酵素と肝ALA合成酵素の性質の比較:赤芽球および肝から精製されたパパイン処理酵素について比較した結果,両酵素は分子量,疎水性,酵素学的性質,免疫学的性質などに明らかな差があり,肝と赤芽球のALA合成酵素は構造,性質の異るアイソザイムであることが強く示唆された. 3.ラット赤血球型ALA合成酵素cDNAのクローニング:フェニルヒドラジン処理貧血ラットの脾から分離した赤芽球画分より得たpolyA^+RNA画分を用いてλgt11発現ライブラリーを作製した. これより,ニワトリ赤血球型ALA合成酵素cDNAの塩基配列を参考にして化学合成したポリヌクレオチドをプローブとして,ALA合成酵素のクローンを検索中である. なお,貧血ニワトリ脾のpolyA^+RNA画分にはニワトリ肝ALA合成酵素cDNAをプローブとしてNorthern blot analysisで検出される画分は認められなかった.
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