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1987 年度 実績報告書

ヘモグロビンーMの分子病理学

研究課題

研究課題/領域番号 62480132
研究機関金沢大学

研究代表者

米山 良昌  金沢大学, 医学部生化学第一教室, 教授 (10019515)

研究分担者 馬渡 一浩  金沢大学, 医療技術短期大学部, 講師 (50135050)
長井 雅子  金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (60019578)
友田 〓夫  金沢大学, 医学部生化学第一教室, 助教授 (10092793)
キーワードヘモグロビンM / 点突然変異 / ヘムの酸化 / チアノーゼ / HbM症 / 吸収円二色性 / 共鳴ラマンスペクトル
研究概要

チアノーゼを主訴とするヘモグロビン(Hb)M症は, 点突然変異により生ずることが明らかになっているが, 変異部位の置いにより, 現在5種類知られている. いずれのHbMでも, 変異部位はヘムポケット内にあって, 異常鎖のヘム鉄は酸化されている. これらは, 正常Hbの酸化型とは非常に異る特徴的な吸収スペクトルを示し, HbMではヘム鉄が単に酸化されているのみではなく, ヘムの電子状態が可成正常Hbとは異っていることが推測される. 又, HbM間にあっては, 正常鎖の酸素親和性に与える影響, 異常鎖の還元性, およびタンパクの安定性等とに相違がみられる. これらが患者の臨床症状にも反映し, チアノーゼの程度がHbM間で異ったり,赤血球中にハインフ小体がみられたりしている. これらの相違が何に由来するのかを知る目的で今年度は, 5種類のHbMの紫外領域の吸収・円二色性(CD)スペクトル,及び共鳴ラマンスペクトルについて調べた.
1.紫外部吸収・CDスペクトルによる知見:5種類のHbMについて250〜350nmの吸収スペクトルを比較すると, HbMMilwaukee(β Ell val→Glu)はほぼ正常Hbと同様であったが, 他の4種のツロシン(Tyr)還接型HbMでは, 275nmの吸収極大が約20%増大していた. チロシンが1残基ふえたことによる吸収増大は6%にすぎないので, このHbMにみられた吸収増大はヘムの変化によるものと考えられた. CDでは, α鎖異常のHbM Iwate(α F8His→Tyr),HbM Boston(α E7His→Tyr)とβ鎖異常のHbM Hyde Park(β F8His→Tyr),HbM Saskatoon(β E7HisーTyr)及びHbM Milwaukeeとの間に大きな相違がみられた.
2.共鳴ラマンスペクトル:振動スペクトルが分子構造に鋭敏であるので, ラマン散乱は赤外吸収同様, 分子の構造を調べるのによく用いられる. Soret帯付近のレーザー光が励起したHbMのラマンスペクトルから,ヘムとHis, 置換したTyrとの関係が分かりつつある.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] M.Nagai;S.Takama;Y.Yoneyama: Acta Haematologica. 78. 95-98 (1987)

  • [文献書誌] 長井雅子: 蛋白質核酸酵素(臨時増刊)-血色素の分子生理と分子病理(米山良昌編集). 32. 643-649 (1987)

  • [文献書誌] K.Mawatari;S.Matsukawa;Y.Yoneyama;Y.Takeda: Biochimica et Biophysica Acta. 913. 313-320 (1987)

  • [文献書誌] A.Tomoda;J.Yamaguchi;Y.Yoneyama: Seminars of Toxicity Metabolisms. 1. 65-74 (1987)

  • [文献書誌] S.Matsukawa;K.Mawatari;Y.Yoneyama;T.Kitagawa: Journal of Protein Chemistry. 6. 109-119 (1987)

  • [文献書誌] K.Tanishima;A.Tomoda;Y.Yoneyama;H.Ohkuwa: Advances in Clinical Enzymology. 5. 81-86 (1987)

  • [文献書誌] 米山良昌;松川茂;友田〓夫;長井雅子;馬渡一浩;岡崎太郎: "日本生化学会編,続生化学実験講座8,血液上" 31 (1987)

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公開日: 1989-03-30   更新日: 2016-04-21  

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