研究概要 |
(1) キサンチン脱水素酵素のクローニング:ラットキサンチン脱水素酵素に対する抗体を作成し, λgt11をベクターとするラット肝のcDNAライブラリーから,抗体と反応する蛋白を生成するクローンをスクリーニングした. 抗体と反応するポジティブなクローンを数個得た. それらからcDNAをとり出したところ0.65,0.25Kbの短いものであった. それをプローブとしてさらにスクリーニングを行い, 現在までに約4.5Kbの長さのクローンを得た. それは蛋白のアミノ酸配列から予想したプローブ(19オリゴヌクレオチド)ともハイブリドを形成し, その一部cDNAの塩基配列は, すでに知られているショウジョウバエのそれと強い類似性が見られた. 現在それらの全配列決定と, さらに全長cDNAのスクリーニングを行っている. (2) 蛋白構造:現在までラット, ニワトリ酵素を蛋白分解酵素による部分消化によるドメイン構造とニワトリ酵素のNAD結合部位を5′ーFSBAでアフィニティーラベルを行い, そのペプチドをとり出しそのアミノ酸配列を決定した. また一部ペプチドを精製しそのアミノ酸配列を決定し, 現在までのところニワトリ, ラットそれぞれ約100のアミノ酸配列が知られた. (3) ニワトリ, ラット酵素の反応速度論的解析, 及び吸収スペクトルの解析により, 各補欠族の相対的酸化還元電位とそのNAD結合による変位の観察を行った. また人工合成フラビンによる置換を行い, その蛋白との相互関係に関する知見を得た. 以上の結果を基に脱水素酵素・酸化酵素に関する反応機構とその変換に関する機構の概略を提出した.
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