研究課題/領域番号 |
62480136
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (10004590)
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研究分担者 |
八巻 重雄 東北大学, 医学部付属病院, 講師 (30133953)
手塚 文明 東北大学, 医学部付属病院, 助教授 (60004892)
八重樫 弘 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (40182290)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 肺循環 / 肺高血圧 / 肺血管病変 / 肺動脈床 / 側副血行路 / 病理学 / 三次元再構成 / コンピュータ画像処理 / Computer / Serial sections / Lung |
研究概要 |
肺高血圧は進行に伴い、肺動脈に閉塞性病変が発生、増悪して末期には非可逆的なEisenmenger症候群に陥るが、この状態に至る迄には側副血行路の発達等により肺の循環構造は大幅に再編成されると考えられる。循環動態変動の機序を理解するには、閉塞性病変の肺動脈樹における分布と血管床全体の狭小度、また側副路の発達様式などを解析する必要があり、しかし三次元可視化の技術的困難も手伝い、この視点からの研究は行なわれていない。そこで本研究では肺高血圧を合併した先天性心疾患の人肺からHeath-Edwards2-3度の2例、4度以上の9例、さらに正常2例を選び、肺の連続切片から計算機による再構成を行ない、肺動脈樹における閉塞性病変および側副血行路の三次元マッピングによって次の結論を得た。1)Heath-Edwards2度の段階では肺血管床のごく一部が閉塞されるにすぎないが、3から4度にかけて閉塞は高度となり、次第に分布も肺内に一様になる。この様に、肺高血圧の進行に伴う循環動態の変化は、動脈病変の質的変化よりは病変の密度・血管床の狭小度など、量的側面と相関する。2)血管病変は種類により分布に特徴があり、病変の発生に血行力学的因子が関与すると考えられる。3)4度病変の末梢側に続発する"dilatation lesion"は一部は側副血行路として機能することを確かめた。これは閉塞部をまたぐ形で形成され、細し気管支動脈枝に連結するが、同時に肺高血圧では区域気管支に併走する上位の肺動脈・気管支動脈間にも吻合が発達している。従ってこの場合は近位部で肺動脈の血流が気管支動脈に流入、この系をかりて末梢に達する「バイパス型」側副血行が主体であり、そう仮定することより多くの臨床像が理解可能であることが示された。この最後の点はさらに検証を行なうべく、目下実験的研究を計画中、また以上に解明した病変分布様式を肺生検による病理診断にいかに反映するかに研究を展開したい。
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