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1987 年度 実績報告書

Sー100陽性Tリンパ球の解析

研究課題

研究課題/領域番号 62480138
研究機関高知医科大学

研究代表者

高橋 聖之  高知医科大学, 医学部, 助手 (90101815)

キーワードS100蛋白 / Tリンパ球 / 細胞障害性T細胞 / T細胞白血病
研究概要

S100陽性Tリンパ球のフェノタイプを2重染色法によって分析したところ, CD3^+,4^-,8^+で, ConA, PHA刺激にてILー2リセプターを発現し, HLAーDR抗原陽性となるT細胞である事が確認された(Virchows Arch B 1987). さらに正常人ではSー100陽性Tリンパ球は1〜10%のリンパ球に相当し, 進行癌患者で特異的に, しかも著しく減少している事を示した(Blood 1987). さらにSー100陽性Tリンパ球由来の白血病, 悪性リンパ腫の存在を発見した. この症例は著明な脾腫と白血球増多を特徴とし, きわめて急性の経過をとり死亡したもので, 腫瘍細胞はCD3^+,4^-,8^+のT細胞で, 細胞質内にS100b蛋白を含有し, T細胞抗原リセプターβ鎖遺伝子の再構成を確認した. (Blood 1988)この症例と, 以前に発表されている類似例をもとに, 新しいT細胞性悪性腫瘍の1疾患概念としてSー100陽性T細胞白血病, リンパ腫という概念を提唱した(Blood 1987). さらにこのS100陽性T白血病細胞が, MHCに拘束されない非特異的細胞障害活性を示すことを明らかにした(第46回日本癌学会総会). さらにこのS100陽性白血病細胞はα1β鎖T細胞抗原リセプターを欠損し, おそらくα/β鎖を発現している事が判明した(投稿中). 正常S100陽性Tリンパ球はα/β鎖を持ち, 非特異的細胞障害能はないが, 抗CD3モノクローナル抗体で刺激するとNK細胞様にK562などの標適細胞と結合することが判明した(投稿中). 以上の結果はS100陽性Tリンパ球が細胞障害性T細胞(CTL)かあるいは, その前駆細胞である事を強く示唆するものである. さらに現在, ヒトのアロキラーT細胞を樹立しているが, この中にS100蛋白を含むアロキラーT細胞株が見い出された(未発表). このS100陽性アロキラーT細胞の性状について現在継続検討中で, ヒトのS100陽性T細胞が特異なCTLか, その前駆細胞であるという事が明らかになりつつある.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kiyoshi Takahashi他: Blood. 70. 214-220 (1987)

  • [文献書誌] Kiyoshi Takahashi: Virchows Archiv B. 53. 357-377 (1987)

  • [文献書誌] Kiyoshi Takahashi他: Blood.

  • [文献書誌] 高橋聖之: 医学のあゆみ. 141. 977 (1987)

  • [文献書誌] 高橋聖之他: 医学のあゆみ.

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公開日: 1989-03-30   更新日: 2016-04-21  

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