研究概要 |
肥満細胞には結合組織型と粘模型の2種類の亜群が存在する. 両亜群の相違は最初は組織化学的に示されたのであるが, その後生化学的, 免疫学的さらに薬理学的にも両亜群の差が明らかになっている. 我々は肥満細胞の分化機構を追求する過程で結合組織型と粘膜型の両亜群の相互関係が不明のままであることに気ずき, 組織化学的手法で結合組織型と粘膜型の相互転換を示したが, 本年度は相互転換の証明のためにより定量的かつ分析的な方法を用いた. WBB6F.ナ_<1.ニ>-+/+マウスの骨髄細胞をILー3の存在下で培養するとほぼ純粋な肥満細胞の浮遊培養が得られる. この培養肥満細胞は組織化学的に粘膜肥満細胞に似ているが, 実際に^<35>Sが取りこまれるプロテオグリカンを生化学的に同定すると, コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであることがわかった. 次に培養肥満細胞を遺伝的に次損しているWBB6F.ナ_<1.ニ>-W/W^vマウスの腹腔に同系正常マウスであるWBB6F.ナ_<1.ニ>-+/+マウスより得た培養肥満細胞を注射した. 培養肥満細胞自身は比重の軽い細胞であるが, WBB6F.ナ_<1.ニ>ーW/W^vマウスの腹腔に注射後その比重は増加し, パーコール密度勾配遠心法によってしらべると, 腹腔注射後10週間でWBB6F.ナ_<1.ニ>-+/+マウスの腹腔にみられる肥満細胞と等しい比重を持つようになる. この結果を利用して培養肥満細胞注射10週後にWBB6F.ナ_<1.ニ>-W/W^vマウスの腹胞から肥満細胞を精製した. この肥満細胞が合成しているプロテオグリカンを^<35>Sの取り込みによってしらべると大部分がヘパリンプロテオグリカンであった. またもとの培養肥満細胞の表面にはForssman抗原が発現していなかったが, WBB6F.ナ_<1.ニ>ーW/W^vマウスの腹胞から回収した肥満細胞はForssman抗原を発現していた. 以上の結果から粘膜型から結合組織型への転換は生化学的, 免疫学的方法によっても確認されたと考えられる.
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