研究課題/領域番号 |
62480149
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部・寄生虫学教室, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
金子 信明 慶應義塾大学, 医学部・寄生虫学教室, 助手 (50177523)
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部・寄生虫学教室, 助手 (70112688)
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キーワード | 赤痢アメーバ / 男性同性愛者 / 血清疫学 / ZYmodeme |
研究概要 |
1980年代初頭以後、わが国においても西欧諸国同様都市での赤痢アメーバ症の発生頻度が著しく上昇した。欧米ではこの原因として男性同性愛者間でのアメーバ感染がまず重要なものとしてあげられたが、これらの原因となったアメーバの殆どは弱毒株であった。一方、わが国では有症状の男性同性愛者のアメーバ症のケースが多数見出された。以上の事情に基き、わが国に分布する赤痢アメーバ株の病原性等について調査した。 (1)ELISA、及びウエスタンブロッティングの検討を襄子保有者に対して実施し、施行条件を検討した。両法とも対象とした80%以上が陽性と判定され、弱毒株感染によると思われる襄子保有者にも高率で抗体陽性者が含まれることが判った。ウエスタンブロッティングによる赤痢アメーバの抗原分析も行った。 (2)東京、名古屋地区で約500名の男性同性愛者を集め血清を分離し、オクタローニ法、ELISAによる血清疫学的検索を実施した。その結果、オクタローニ法で前者のグループは2%、後者のグループは8%の陽性率を示した。ELISAでは各々約2倍の陽性率が得られた。これら2グループの男性同性愛者の背景には少し差異があり、前者のグループは地方出身も約半数の割合で含まれた。 (3)以上の男性同性愛者のグループ、及び他の症例よりアメーバを分離し、デンプンゲル電気泳動によってヘキソキナーゼなどの酵素のアイソザイムパターンを調べた。その結果、分離株はZYmodemeII、XIV、XIXなどを示した。これらは何れもpathogenic ZYmodemeであり、分離株は病原性株と判定された。又、これらは主に東南アジアに分布することが判っているのでわが国のアメーバの由来にも手がかりが得られた。
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