研究課題/領域番号 |
62480150
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小林 昭夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20056477)
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研究分担者 |
浜田 篤郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10164906)
渡辺 直煕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (00057019)
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キーワード | 感染防御 / 蠕虫感染 / IgE / 補体 / C_1q / 抗体依存性蠕虫殺滅 / 好酸球増多 |
研究概要 |
蠕虫感染の防御機構を解析するため、第1にIgE欠損マウスを用いてIgEの関与を検討し、第2に抗体依存性蠕虫殺滅(ADCC)におよぼす補体の影響について検討することを目的とし、以下の結果を得た。 1.IgE欠損マウスにおける蠕虫感染:抗原特異的IgE抗体産生がみられる蠕虫として、小形条虫と住血吸虫を選び、先天性IgE欠損SJA/9マウスとIgE産生対照としてSJL/Jマウスに感染を行い比較した。小形条虫感染においてはIgE抗体は、血中好酸球増多に関与しなかったが、成虫の排虫には部分的関与がみられた。住血吸虫感染では、肝における虫卵結節の形成にIgE抗体の部分的関与が示された。非特異的なIgEの産生が著しい蠕虫としてNippostrongylusとマレー糸状虫を選んだ。これらの感染によって蠕虫特異的IgE抗体は検出されなかった。Nippostrongylus感染後の血中好酸球増多と感染防御にはIgEが関与しなかった。後天性IgE欠損マウスにおけるマレー糸状虫感染でも、IgEは好酸球増多と感染防御に影響しなかった。これらの結果は、蠕虫感染における好酸球増多と感染防御にIgEが主要な役割を担っていないことを示唆している。 2.ADCCにおよぼすC_1qの影響:イヌ糸状虫ミクロフィラリアを標的とし、IgG抗体を仲介とし、多核白血球をエフェクター細胞とするADCCがC_1qの添加により増強することが示された。その機序として、C_1qの尾部を介してのエフェクター細胞の活性化と、C_1q頭部によるIgG結合量の増加とが示された。とくに後者については、低親和性抗体の抗原への結合がC_1qによって増強される場合が最も顕著であった。この点は親和性の異るモノクローナル抗体のハプテンへの結合でも確認された。これらの結果から、低親和性抗体の多い感染の初期に、C_1qが防御機構を増強している可能性が示唆された。
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