研究概要 |
1.Lactobacillus acidophilusはDNA相同性により数群に分類されているが, 細胞壁外層に四角形状の規則的配列構造(RA)が存在するのはすべてA群に属し, その構成RA蛋白はSDSーPAGEでは分子量41,000〜48,000であり, S.aureus V8プロテアーゼによる限定分解後のペプチドマップによりさらに4亜群に分けられ, RA蛋白がこの菌株の分類の指標となりうることが示された. 2.抗生剤投与に伴う偽膜性腸炎の起炎菌として注目されているClostridium difficileの細胞壁外層にはほぼ正方形のRAが存在し, それは菌株による分子量が 45,000〜47,000(45K〜47K)と32,000(32K)または42Kと38Kの2種類の蛋白から構成されている. RA画分を4M塩酸グアニジン(GHCl)で抽出し, その遠心上清をCa^<2+>含有中性緩衝液中で透析しGHClを除くともとと同様なRAが再構成した. 32K蛋白をリン酸塩緩衝食塩水で抽出後, イオン交換クロマトグラフィー, ゲル瀘過, クロマトオォーカシングにより精製し, その抗体を調製した. 32K蛋白はシスティンを欠く酸性蛋白で, その特異抗体はイムノブロット法で32K蛋白をもつ菌株に共同抗原性を示すものと示さない菌株があった. 45K蛋白は不安定で精製過程で分解され易く, 抗原性も弱かった. これら両蛋白共にプロティンAー金コロイド法により細胞壁外層に均等に局在することが免疫電顕的に観察された. 本菌のHeLa細胞への付着には32K蛋白が直接関与していることが示された. 3.E型ボツリヌス菌の細胞壁外層には平行線条を呈するRAが存在し, 4MGHClまたは6M尿素で可溶化され, 中性緩衝液に透析すると円柱状構造を呈するRAが再構成され, SDSーPAGEで90, 60, 25K蛋白バンドが見られた. ヨウ素ラベルすると90Kと60K蛋白のみが標識され, これら蛋白が露出していることが示され, またこれら蛋白の抗体を用いた免疫電顕法で細胞壁外層にこれら蛋白の局在が示された.
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