研究概要 |
1.2系統(B/J系,Chbb:HM系)の近交系家兎とそのF1雑種からHTLVーI形質転換細胞株を樹立し, その組織適合抗原の解析を行った. その結果, クラスI抗原はどの株も強く発現していたが, クラスII抗原については発現している株としていない株があった. 2.これらの細胞株について, 新生仔家兎における白血病誘発能を検討したところ, これを誘発できる株とできない株があり, この白血病誘発能とクラスII組織適合抗原の発現の間には相関のないことが明らかとなった. 3.Chbb:HM系細胞株をChbb:HM系新生仔に接種すると血清抗体陽性となったが, B/J系細胞株をB/J系新生仔に接種すると血清抗体は陽性とならなかった. また, HTLVーIキャリヤー家兎(F1)から生まれた仔兎の生後10週令における血清について抗HTLVーI抗体を調べたところ, F1あるいは Chbb:HM系雄との交配の結果生まれた仔兎では血清抗体陽性家兎と陰性家兎がいたが, B/J系雄との交配の結果生まれた仔兎では血清抗体陽性家兎はいなかった. この結果から, 新生仔家兎のHTLVーI感染に遺伝因子が関与していることが示唆された. 感染感受性と組織適合抗原との関連については現在検討中である.
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