研究課題/領域番号 |
62480171
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 康浩 名古屋大学, 医学部, 教授 (90022805)
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研究分担者 |
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
久永 直見 名古屋大学, 医学部, 講師 (90111856)
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キーワード | 混合曝露 / nーヘキサン / MEK / 曝露装置 / 濃度の自動制禦 / 末梢神経伝導速度 / γーエノラーゼ / Sー100蛋白 |
研究概要 |
nーヘキサンの神経毒性がMEKの混合曝露によって増強されることが報告されている。しかし、我々の実験ではMEKの混合曝露によって神経毒性がつよいと考えられている2,5ーヘキサンジオンの尿中排泄量がむしろ減少することを明らかにしてきた。今回はnーヘキサン2000ppm単独曝露群 nーヘキサン2000ppmプラスMEK2000ppm混合曝裏群の尿中nーヘキサン代謝物と末梢神経障害を比較検討した。その結果、尿中代謝物は混合曝露群の方が低い傾向を示し、末梢神経障害では明らかな差異が認められなかった。混合曝露によるnーヘキサンの神経毒性の修飾とその機序を一層明らかにするために、正確に混合曝露が実施できる装置が不可欠であり、その試作を行った。溶剤蒸気の発生には自動車用ガソリン噴射装置を利用し、濃度の測定には市販のガスクロマトグラフを改造して、直接FIDで9分毎に測定してフィードバックできるようにした。濃度の自動制禦はパーソナルコンピューターを用い、設定した濃度から5%以上はずれた場合には溶剤の噴射量を制禦できるようにした。曝露装置内のラットの給水は自動化し、糞尿処理は水洗式としてラットの飼育管理を省力化した。曝露装置は4基作成し、いずれも2種類の溶剤が混合曝露できるようにした。曝露装置内の濃度は5%以内に分布しほぼ均一であること、5〜5000ppmまで広範囲の濃度が得られること、濃度は設定濃度の5%以内のものが短期及び長期曝露で得られることを確認した。この装置を用いてnーヘキサン3000ppm、1200ppm、500ppmの濃度段階別長期曝露実験を行い、末梢神経障害は高濃度ほど著しく、明らかな量・反応関係が認められた。末梢神経のγーエノラーゼとSー100蛋白も曝露群で減少し、末梢神経障害の指標となることを明らかにした。今後は新しく試作した曝露装置を用いて、混合曝露によるnーヘキサンの神経毒性の修飾とその機序を一層明確に解明する予定である。
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