研究課題/領域番号 |
62480176
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
工藤 吉郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10081655)
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研究分担者 |
大江 敏恵 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70185198)
坂口 武洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80050657)
中村 磐男 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (30081657)
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キーワード | ポルフィリン / 急性間歇性ポルフィリア(AIP) / 造血機能 / 貧血 / 運動 / 環境 / 鉛 / ベリリウム |
研究概要 |
生活環境内には、健康に有害な因子も少なくない。生体側の反応から健康障害発生以前に、有害因子を予知できれば、適切な予防対策も可能となる。本研究は、昨年から継続して、赤血球系造血機能に着目し、生体に対する有害作用の早期発見を目的とした。結果は以下の通りである。 1.低濃度鉛曝露作業者(血中鉛が20μg/dl以下)において、貧血関連の変化は認められなかったが、79名中15名に尿CoproporphyrinIとIIIの逆転を認めた。ポルフィリン代謝への影響の原因を検討している。 2.ベリリウム(Be)投与により、尿CoproporphyrinIII排泄の増加を認めた。これは、赤血球造血系に対する直接的な影響ではなく、肝障害によって誘発された間接的な変化であると思われる。 3.実験動物家兎の背部に物理的皮ふ炎や、化学的皮ふ炎を発生させると、皮ふ炎の消長と尿CoproporphyrinIII排泄増減が平行することを認めた。皮ふ炎が、赤血球系造血機能に影響を及ぼすことを示唆するものと思われる。 4.スポーツ活動をする女子高校生の貧血傾向は、鉄欠乏に加え、赤血球造血系酵素活性の変化を伴うことを認めた。貧血は運動終了3ケ月後では回復しなかった。一方、健康女子学生に運動負荷すると、運動負荷終了の30分後から、尿中UroporphyrinとCoproporphyrinIIIの濃度は増加し、1時間後に最大となり、以後漸次回復すること、この傾向は運動負荷量の多い程、大であることが明らかになった。 5.急性間歇性ポルフィリア(AIP)の家族を追跡調査し、赤血球PBG-D活性測定により、carrierも検出することが出来た。この家族はわが国で最も強い遺伝性をもつ家系であることが明らかとなった。また、このAIP carrierに対して、腹痛発作等の発現予防に関する教育を行うことにより、発症防止が可能であることを報告した。
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