研究概要 |
聴力保護のための騒音の許容基準をA特性の騒音レベルで設定するために, 以下の3点につき研究を遂行した. (1)騒音暴露と聴力損失との量一効果, 量一反応関係の資料の集積. この点については, 約400名の騒音作業従事者の聴力検査を実施し, あわせて過去の騒音暴露歴・既往症について問診した. また, 騒音作業従事者の騒音暴露量を精密に測定するため, 80名の作業者に環境・作業騒音測定装置を携帯した状態で作業に従事してもらった. 騒音に暴露されていない青年男子145名, 女子180名の聴力を測定した. (2)既往の衝撃音の許容基準が定める衝撃音の測定方法によって得られる測定値と騒音計で測定したA特性の騒音レベルとの関係の検討. この点については, 騒音計を一次遅れ系とみなし, 衝撃音の音圧波形を数式で近似して系の入力とした場合のメータの指示値を理論的に算出した. 衝撃音の音圧波形のパラメータを種々に変えたときの騒音計の指示値を求めて, 両者の測定値の関係を検討した. (3)騒音性聴力損失を有する被験者を対象にした語音聴力検査の実施. この点については, 11名の騒音性聴力損失を有する被験者につき, 無意味3連音節せ用いた明瞭度試験を実施した. 試験は, バブルノイズ負荷, 残響負荷の状態でも実施し, かつ健常者にも同様の試験を実施した. 以上の研究を来年度も引続き実施する予定である.
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