抗原非特異抑制因子に対するモノクローナル抗体の作製とその応用

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62480189
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 恒松 徳五郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (40026852)
• 研究分担者: 中村 守彦 島根医科子学, 医学部, 教務員 (20155865) ; 小川 博遊 島根医科大学, 医学部, 助手 (50127510)
• キーワード: 非特異抑制因子 / モノクローナル抗体

研究概要

我々は本科学研究費助成金により、当研究室で従来より取扱っている抗原非特異抑制因子(MNSF)に対するモノクローナル抗体(M06)を作製し、その免疫化学的特性について明らかにしてきた。M06抗体はMNSFを特異的に認識し、他の無関係な蛋白とは全く反応しない。従って、M06抗体を利用したアフィニティー・クロマトグラティーによりMNSFを純度の高い単一な物質として精製できた。このMNSFをアミノ酸配列決定装置により分析した結果、N末端から20残基が明らかになった。このアミノ酸配列データをもとに、すでにMNSF産生ハイブリドーマより調整済みのDNAライブラリィーを利用してMNSFの構造遺伝子の決定を急いでいる。一方、M06抗体を用いて、マウスMNSFの'counterpart'がヒトにも存在することが判明した。両者は生化学・免疫化学的特性が酷似しており、ヒトMNSFはマウスの系で作用を及ぼすが、マウスMNSFはヒトには働かない。この様にヒトにも抗原非特異抑制因子が存在する事実は、臨床的にも興味深く、自己免疫疾患を含めた各疾患患者のその動態を明らかにするとともにヒトMNSFの単離・精製を現在行なっている。また、M06抗体を利用したMNSF抗原を微量的定量するためのELISA法を確立した。この定量法により、MNSFそのものをバイオ・アッセイより迅速に測定でき、かつ正確にその量を絶対量として把握できる。このアッセイ・システムにより、自己免疫疾患モデルマウスにおいては、MNSFの産生能力が低下していることが判明した。逆に、MNSFを補ってやるとその病態が改善するというMNSFをさらに逆相高速液体クロマトグラフィーによりさらに単一に純化したものについてのエピトープを解析している。

研究成果

• [文献書誌] Morihiko Nakamura;Hiroyuki Ogawa;Tokugoro Tsunematsu: J.Immunol.136. 2904-2909 (1986)
• [文献書誌] Morihiko Nakamura;Hiroyuki Ogawa;Tokugoro Tsunematsu: J.Immunol.138. 1799-1803 (1987)
• [文献書誌] Morihiko Nakamura;Hiroyuki Ogawa;Tokugoro Tsunematsu: Cell.Immunol.116. 230-239 (1988)
• [文献書誌] 中村守彦,小川博遊,恒松徳五郎: 臨床免疫. 20. 229-235 (1988)
• [文献書誌] 恒松徳五郎,中村守彦,小川博遊: "「厚生省特定疾患自己免疫疾患調査研究班 昭和60年度研究業績」モノクローナル抗原非特異抑制因子の精製とその生化学的検討" 140-143 (1986)
• [文献書誌] Tokugoro Tsunematsu;Hiroyuki Ogawa;Morihiko Nakamura: ""New horizons in animal models for autoimmunedisease"Suppression of B cell function for treatment of autoimmune mice by means of total lymphoid irradiation and of administration o" Academic Press, 323-329 (1987)