研究概要 |
今年度は高感度イメージインテンシファイアを付置したハイスピードビデオシステムをライツ社製Wtrapak型顕微鏡に取り付け高速VTR収録により類洞をながれる赤血球, 白血球, 血小板の動きを解析するシステムと類洞内赤血球中のヘモグロビンの分光分析より類洞内酸素レベルを推定するための超高感度分光光度計をin vivo顕微鏡システムに装備した. 本システムにより2000ー3000倍率下でラット,マウス肝の微細構造の観察が可能となった. FITCーalbuminやFITCーdextran,propidiumーI.ナ_<2.ニ>などの蛍光物貭の細胞膜透過性そして透過物貭の細胞内拡散動態を肝小葉内periportal(pp)及びpericentral(pc)域にて定量的に解析を行うための蛍光顕微鏡システムを上記のシステムと同時に作動しうるようにした. 以上のシステムを用いてアルコール性肝障害及び各種薬物による肝障害の発症, 進展過程を肝小葉内類洞血流との関係で解析した結果, 1)低ー中等度のアルコール負荷はpp,pc共に類洞血流を上昇させるが, 血流の不均一性を増し, 更に, 高濃度のアルコール負荷では類洞血流の低下, 血液酸素化の著しい減少, ヒポキシアを惹起する. 2)蛍光実験と肝潅流実験の成績より, 高濃度アルコールは門脈細枝の収縮, 血流不全部位を惹起し, これにはCa^<2+>が関係する. 3)ガラクトサミン, 四塩化炭素投与後, 速やかに肝類洞間類洞にて白血球基栓, 血小板凝集に引きつづいて赤血球のルーロー現象が生じ, 微小循環障害を来すことが判った. 次年度は血流障害発生メカニズム及びその対策について検討する.
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