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1988 年度 実績報告書

In vivo蛍光顕微鏡システムによる肝微小循環・細胞膜機能の動的解析ー肝障害発症・進展機序解明と治療への応用ー

研究課題

研究課題/領域番号 62480195
研究機関大阪大学

研究代表者

佐藤 信紘  大阪大学, 医学部, 講師 (90028358)

研究分担者 肱岡 泰三  大阪大学, 医学部附属病院, 医員
吉原 治正  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70230795)
目連 晴哉  大阪大学, 医学部, 助手
松村 高勝  大阪大学, 医学部, 助手 (90183615)
キーワード肝微小循環 / 類洞血流 / 蛍光物質 / 細胞膜機能 / In vivo顕微鏡システム / アルコール性肝障害
研究概要

肝臓の微小循環の異常が肝細胞障害といかに関連するかについて、肝微小循環の3次元的拡大可視化法(in vivo蛍光顕微鏡システム)を開発し、検討した。更に、分光分析装置を組み合せて、2〜5000倍に拡大した肝小葉内類洞酸素濃度の差異をヘモグロビンの酸素化度からin vivoで経時的に計測する手法を開発した。この結果、正常の肝小葉内門脈(PP)域→中心静脈(PC)域には酸素レベルのほぼ均一な勾配が存在するのに対し、アルコール投与後ではPC域での類洞内酸素レベルの低下が著しく、hypoxiaを呈する部位が生じ、その勾配がsteepになり不均一化することが判明した。更に、アルコール少量投与では類洞血流量、類洞内血液の酸素化度の増大が認められたが、大量投与では著しい血流の不均一性が生じるとともに、血小板の血管壁への粘着、白血球への付着の増加、白血球の血管壁への粘着の増加、赤血球の変形などが生じ、このためZone2、3の血管の一部が閉塞され類洞血流に異常が生じ、著しく速く流れる部位と血流の途絶する部位が出現することが判明した。これらの事実は、大量飲酒により肝小葉内シャントが生じ、肝小葉中心域に局所的な酸素欠乏を来たして肝細胞機能障害が惹起される可能性を示すものと考えられた。この機序については灌流肝での検討から血管平滑筋細胞内Ca^<2+>量の増大を介したpresinusoidでの血管収縮に起因することが示唆された。ガラクトサミン投与ラット肝では類洞内血流は緩徐となり白血球の粘着の増加、塞栓が生じ肝小葉内の一部に血流の途絶が生じることが判明した。同様に、四塩化炭素を投与したラットでも白血球のrolling現象が生じ、壁粘着、塞栓が発生し、微小循環の障害が病態の一因となることが考えられた。本システムを用いると薬剤の評価についても新たなる視点から可能と考えられ、種々の臓器の血行異常を是正する薬剤開発に資し、各種疾患の治療予防に応用され得るものと考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Sato,N.;et al.: Microcirculation in circulatory disorders. 215-220 (1988)

  • [文献書誌] Matsumura,T.;et al.: Biomedical and Social Aspects of Alcohol and Alcoholism. 525-528 (1988)

  • [文献書誌] Hijioka,T.;et al.: Biomedical and Social Aspects of Alcohol and Alcoholism. 401-404 (1988)

  • [文献書誌] Sato,N.;et al;: Biomedical and Social Aspects of Alcohol and Alcoholism. 383-386 (1988)

  • [文献書誌] Kasahara,A.;et al.: American Journal of Gastroenterology. 83. 846-849 (1988)

  • [文献書誌] 竹井謙之 他: 肝臓. 29. 1202-1207 (1988)

  • [文献書誌] 佐藤信紘 他: "内科診断治療講座(5):肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害発症の機序" メジカルビュー社, 38-43 (1988)

  • [文献書誌] 佐藤信紘: "内科診断治療講座(5):肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害" メジカルビュー社, 228-239 (1988)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2017-04-05  

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