研究概要 |
1.食用ガエルのペプシノーゲン分泌腺の単離;食用ガエルの下部食道粘膜を0.1%コラーゲネースを含む培養液により単離することができた. この分泌腺に含まれるペプシノーゲン分泌細胞は85%以下であり, これらは95%以上の生存率であり, 約24時間4℃に静置した後の分泌状態も安定していた. 2.灌流実験系の確立;ナイロンメッシュ上に接着させた単離腺を直径5mm, 容積約30μlノチャンバー内に置き, 灌流液が単離腺上を対流する方式の実験装置を作成した. この方法によりペプシノーゲン分泌の1分きざみの経時的観察が可能となった. 3.基礎, 並びに各種刺激剤によるペプシノーゲン分泌の観察;この実験系において, 基礎分泌は灌流開始後約15分間で安定し, その後少なくとも60分間はほぼ一定の分泌量を維持した(0.024±0.006% of total pepsinogen per minutes(以後%とのみ記載する). ベサネコール(Bch), 並びにボンベシン(BB)のそれぞれ3.2×10^<-5>M, 3.2×10^<-7>Mの用量で各々の最大刺激分泌, 0.250±0.050%, 0.284±0.023%を観察した. これらの刺激剤とdbcAMPのそれぞれの最大刺激用量を併用投与すると, Bch+dbcAMPで0.414±0.060%, BB+dbcAMPで0.501±0.061%と相乗的分泌量が観察された. この観察結果は, BchやBBがcAMP以外の細胞内刺激伝達系を持つこと, 又この伝達系がcAMPを介する伝達系との間に相互作用を有する事を示す成績と考えられた. 以上の今年度の成績は, この実験系によるペプシノーゲン分泌における細胞内刺激伝達, ペプシノーゲン合成機構の解明のため有効な手段となる事を示していると考えられた. 4.細胞内電位測定は, 微少電極刺入による高胞障害が強いため安定した測定がえられなかったため, パッチクランプ法を用いて行うこととした.
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