研究概要 |
Pepsinogen(PG)分泌機構の研究を目的として三種に大別される研究を行い以下の成績を得た。 (1)カエルの単離PG腺房細胞における、各種agonists及び各種の細胞内情報伝達物質の代用剤によるPG分泌とこの時の細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)の変化を観察した。Adrenalin作動性刺激、choline 作動性刺激及びpombesin(BB)刺激により用量依存性のPG分泌を認め、後二者ではこれに対応する[Ca^<2+>]iの増加を認めた。DBcAMP,TPA及びA23187により用量依存性のPG分泌の増加と、これら各相互間に相加的あるいは相乗的相互作用が観察された。これらの成績より、このPG分泌機構にcAMP、[Ca^<2+>]i及びprotein kinase Cが含まれ、刺激減感作現象の発現に[Ca^<2+>]iが含まれることが示唆された。 (2)カエル単離胃底腺細胞において、細胞膜のK^+ channelと細胞内電位の測定を行った。非刺激時、DBcAMP及びhistamine存在下で活性化される30-35psのconductanceを有するchannelと、choline作動性刺激、Ca^<2+> ionophore A23187で活性化される50-55psのconductanceを有するchannelが観察され、双方ともK^+に高い選択性が認められた。これらのchannelの整流作用にMg^<2+>が関与し、さらにomeprazoleにより濃度依存的に抑制された。これらの成績より、胃底腺細胞のK^+ channelは細胞の静止電位の維持に働くと同時に、分泌現象と関連を有することが示唆された。 (3)カエルの遊離胃体部粘膜、胃内灌龍ラットを用いる実験的検討、さらに臨床的検討の結果、omeprazoleにPG分泌増加作用が認められたが、この作用に細胞膜刺激受容体は関与しないものと考えられた。
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