研究概要 |
肝内胆汁うっ滞モデルとして,ファロイシン投与ラット,大阪市大溝口助教授より供与された催胆汁うっ滞因子投与ラットを用いた. コントロールと前記のラットを用いて,アクチン・ケラチンの免疫螢光染色と共に,界面活性剤で処理した肝を対象に透過電顕, 走査電顕で肝細胞細胞骨格を観察した. 閉塞性黄疸モデルとして,総胆管を1週間完全結紮したラットを用いた. ファロイジン投与ラット,総胆管結紮ラットでは,毛細胆管周囲にアクチンフィラメント(MF)のみならず中間径フィラメント(IF)も増加することを,免疫螢光法,透過電顕,走査電顕で証明した. しかし,催胆汁うっ滞因子投与ラットでは毛細胆管の拡張,微繊毛の減少・消失はあったが,毛細胆管周囲のMFやIFは増加しなかった. 以上より,MFが増加するような状態ではIFはmetaplasticなchangeを起こすものと考えられた. ラット・ヒトの両者のIFに染色性を有する抗サイトケラチン抗体(RPN 1160,AmershamとCAM 5.2 BectonーDickinson)を使用し,最近ヒト正常肝細胞IFには免疫学的に異質性が存在することを見い出している(研究発表・雑誌論文学照). 現在,胆汁うっ滞時に増加するIFがどのような性質のIFか免疫学的に同定中である. 最近は従来我々が報告して来た方法以外に,まず肝組織を0.004% DTBTで固定後に凍結割断し,その後にJahnの液で処理する方法を試み,走査電顕でMFとIFの相互関係をより明瞭に摘出しうるようになっている. 現在,自作の凍結割断ディープエッチング装置を用いて,急速凍結割断を行っており,IFとMFの三次元的相互関係がより明瞭となるものと考えている.
|