研究概要 |
急速凍結ディ-プエッチングレプリカ法での観察は、個々のフィラメントの解像力が悪く、種々の実験条件下での胆汁うつ滞症における肝細胞細胞骨格の研究は中止した。本年度は、昨年報告した研究実績に述べたFey&Penmannの方法を改良したKatsumaの方法を用いて、培養肝細胞における毛細胆管形成と極性形成におけるデスモゾ-ムと肝細胞中間径フィラメントの関係を研究した。使用した抗体は抗CKモノクロ-ナル抗体(PKK_1)の抗デスモプラキンモノクロ-ナル抗体(DP1&2)である。コルヒチン処理するとチュブリンは細胞質内で無構造となるが、マイクロフィラメント、IF、デスモプラキンには著変はなかった。サイトカラシンD処理によりMTに変化はなかったがMFは断裂し、軽度の細胞間の解離、デスモプラキンの分布の乱れが出現した。MFの凝集部位にDPを示す蛍光がしばしば観察された。コルヒチン、サイトカラシン同時処理により、細胞間の解離は強くなり、デスモゾ-ムを残して解離している部分もあり、CKの分布は不均一となった。以上の結果から、IFとMFは細胞接着部位でデスモソ-ム、ヘミデスモソ-ムを介して相互関係を有し、IFは細胞質内ではMTとの関連性の元に細胞の立体構築形成に関与していることが判明した。 別の研究として、マロリ-体形成におけるIFとユ-ビキチンの関連性を検討し、マロリ-体形成フィラメントと周囲のIFにコ-ビキチン化が起きていることを明らかにした(肝蔵31:53ー58,1990)。 また、Katsumaらの方法を用いて、実験肝癌発生過程における肝細胞中間径フィラメントの免疫学的性質の変化についても明らかにした(肝蔵:31,152,1990)。
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