研究課題/領域番号 |
62480200
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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研究分担者 |
岸 不盡彌 北海道大学, 医学部・付属病院, 講師 (80161438)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP) / 肺循環 / 慢性塞肺疾患(COPD) / 寒冷昇圧試験酸素 / アミノフィリン / 運動負荷 / exercise test |
研究概要 |
慢性肺疾患患者の右心系負荷の増大は肺性心をきたしその予後を規定する重要な因子となる。しかるに右心系負荷を生体内で制御する機構は不明な点が多い。本研究では心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の肺性心における動態を明らかにし、慢性肺疾患患者の右心負荷に有効な治療法を開発する目的で以下の項目について検討した。 1)ANP分泌の特徴を明らかにするために、33名の慢性肺疾患患者を対象に混合静脈血、動脈血および静脈血のANP濃度と肺循環諸量とを検討した。 2)神経ホルモン反射と圧量負荷時のANPの動態を寒冷昇圧試験(cold pressor test)および運動負荷試験により解析した。 3)慢性閉塞性肺疾患患者(COPD)を対象に、その治療に使われる酸素およびアミノフィリンの投与をおこない、低酸素血管攣縮時ならびに薬物による血中ANP濃度の変化を観察し、肺性心の治療効果を血中ANP濃度の変化で評価できるか否かを検討した。その結果として以下のことが明かとなった。 1)右心負荷が増大している慢性肺疾患患者では血中ANP濃度は上昇しており、混合静脈血・動脈血間に濃度の格差がみられ、ANPの肺循環系での消費とそれに伴うなんらかの生理的作用が推測された。 2)寒冷昇圧試験ではANPの分泌亢進が認められたが反応時間は遅く二次的な因子もしくは体液性因子の介在が考えられた。 3)酸素およびアミノフィリン投与では右心負荷の軽減とともにANP濃度も低下し、血中ANP濃度は右心負荷の程度を反映すると考えられた。 4)運動負荷によって血中ANP濃度は上昇したが、同時にアミノフィリンを投与すると右心負荷の軽減が認められANP濃度の上昇は抑えられた。 5)右心負荷の軽減により血中ANP濃度は低下する。血中ANP濃度測定は肺性心治療効果の指標として有用である。
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