研究分担者 |
酒井 秋男 信州大学, 医学部附属心脈管研究施設, 助教授 (70020758)
上田 五雨 信州大学, 医学部附属心脈管研究施設, 教授 (10020702)
久保 恵嗣 信州大学, 医学部, 助手 (80143965)
小林 俊夫 信州大学, 医学部附属病院, 講師
半田 健次郎 信州大学, 医学部, 助教授 (70020724)
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研究概要 |
1)慢性閉塞性肺疾患における血液レオロジー因子の変化 慢性閉塞性肺疾患12例,肺結核13例,特発性間質性肺炎8例,健常成人10例(対照群)を対照として,血液粘度,赤血球変形を測定,動脈血ガス分析,肺機能,および201ーThalium心筋シンチ所見との相関を検討した. 血液粘度はconeーplate viscometer(VisconicーEL,東京計器),赤血球変形能の指標として,菊地らの方法(Med.& Biol.Eng.& Comput.21:1983)により1個の赤血球が直径5μの小孔を通過するのに要する時間を算出した. その結果,1)患者群の全血粘度,血漿粘度は対照群に比し有意な変化を認めなかったが,赤血球変形態に有意差はなかった. 2)慢性閉塞性肺疾患群の全血粘度が有意に上昇したが,赤血球変形能に有意差はなかった. 3)T1ー201の右室壁集績度が増すにつれて赤血球変形能が低下する傾向がみられ,集積度がO群と2+群との間に有意差を認めなかった. 全血,血漿粘度には一定の傾向を認めなかった. 4)P_2O_270 Torr以上の症例を対象とすると,右室壁集積度が増すにつれて赤血球変形能が有意に低下した. 以上の結果より,慢性閉塞性肺疾患;慢性肺胞性低酸素環境下では,病態の悪化に伴って赤血球変形能が低下し,微小循環の血流抵抗を増大させ,右室負荷の一因になっていることが示唆された. 2)高地肺水腫既往者における低圧低酸素環境が肺循環動態に及ぼす影響 高地肺水腫既往者7名に対して,Swan・Ganzおよび動脈カテーテルを留置し,高度3000m相当(510Torr)と吸入気中の酸素分圧(約15%)を大気圧下で吸入した場合(低酸素負荷)の変化を比較検討した. 高地肺水腫既往者では,低酸素吸入により,肺動脈圧は上昇するが,低圧の要因が加わると,その上昇の程度は増加する.
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