研究概要 |
1.in vitroのマイクロファージを用いた実験では, 肺胞マイクロファージのATPは, 335ng/1×10^5cellで, 好気性条件(95%airー5%CO_2,48時間)では, 622ng/1×10^5cell, 嫌気性条件(95%airー5%CO_2,48時間)では, 242ng/1×10^5cellであった. 嫌気性条件上でのATP量は, 好気性条件下の61%に低下していた. 電子伝達系の阻害剤であるアンチマイシンAを加えると, コクトロール及び好気性条件下のマイクロファージのATP量は, 45%に低下するが, 嫌気性条件下のマイクロファージのATP量はほとんで低下しなかった. 従って, もともと酸化的燐酸化によって約50%位エネルギーを得ていた肺胞マイクロファージが嫌気性条件下で培養することにより, 解糖系によってエネルギーを得るように順化していったと考えられた. 2.慢性低酸素ラットは, アイソレーター内のFiO_2を13%として5週間曝露した. コントロールのラット及び慢性低酸素曝露ラットの大腿部の筋肉の^<31>PーNMRスペクトルを観察した. クレアチン燐酸, ATP, 無機燐によって構成されるスペクトルのパターンは変化なかった. コントロールのラットに12%酸素を吸入させると10分後にはクレアチン燐酸の量がコントロールの80%に低下したが, その後は除々に回復し, 20分後には90%となった. 低酸素曝露ラットは9%酸素吸入にてクレアチン燐科量は88%低下にとどまった. 以上により, 低酸素曝露は, 安静時においては高エネルギー燐酸化合物のパターンには変化がないが, さらに低酸素状態とすると, 慢性低酸素曝露ラットの方が, 低酸素状態に対し, 高エネルギー燐酸化合物の変化が少ないといえる. 今後は慢性低酸素曝露ラットに運動負荷を加え, 筋肉の高エネルギー燐酸化合物の変化を検討したい.
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