研究分担者 |
千原 国宏 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (80029561)
中島 茂 香川医科大学, 医学部付属病院, 助手 (80172310)
水重 克文 香川医科大学, 医学部, 助手 (90166009)
森田 久樹 香川医科大学, 医学部, 助手 (70145051)
千田 彰一 香川医科大学, 医学部付属病院, 講師 (30145049)
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研究概要 |
心臓内血流は本来三次元(空間的)な方向と速度を有している. そこで本研究では, 心臓内三次元血流ベクトルの計測を可能とする複数周波数2ビームパルスドプラー法を応用し, これにより健常例における心腔内多数点での正確な血流方向および絶対血流速度を計測することを目的とした. ついで, 壁運動異常を有する病的心における三次元的血流動態を計測し, 心機能および局所壁運動と血流との関係を明らかにすることを目指す. 初年度は, 健常例35名の左室流入および駆出血流三次元ベクトルを計測した. 左室急速流入血流ベクトルは長軸面では心尖方向よりやや後方(2±14°)に, 矩軸面では心室中隔に垂直な方向より左方(24±25°)に向かい, その絶対流速は77cm/secであった. 心房収縮期流入血流ベクトルは長軸面では急速流入血流ベクトルよりさらに7°後方に向かい, その絶対流速は50cm/secであった. 僧帽弁前尖弁膜レベルの左室流出路中央部での駆出血流ベクトルは, 長軸面では心室中隔左室面と平行な方向より9±17°後方に, 短軸面では心室中隔に垂直な方向より19±23°左方に向かい, その絶対流速は69cm/secであった. さらに, 陳旧性心筋梗塞において局所壁運動異常と心臓内血流動態の関連についても一部検討を進めた. 前壁中隔梗塞における左室流入血ベクトルは長軸面では健常例より後方に向かい, 一方後下壁梗塞では前方心室中隔寄りに偏位した. このことは, 健常心筋の良好な拡張運動によって左室流入血流が非梗塞部に引き寄せられるごとくに偏位するためではないかと考えられた. 以上, 当初企図した研究計画は助調に進んでいる. 本年度は病的心における矛討を引き続き進めるとともに, ハード面での改良, すなわち探触子支持装置の軽量小型化や, 血流情報のデジタル処理の高度化なども行う予定である.
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