研究課題/領域番号 |
62480216
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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研究分担者 |
千原 国宏 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (80029561)
中島 茂 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80172310)
水重 克文 香川医科大学, 医学部, 助手 (90166009)
森田 久樹 香川医科大学, 医学部, 助手 (70145051)
千田 彰一 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30145049)
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キーワード | 超音波ドプラー法 / 断層心エコー法 / 心腔内血流 / 血流ベクトル / 画像診断 / 経僧帽弁流入血流 / 左室拡張性 |
研究概要 |
本研究の目的は、血流ベクトルの計測を可能とする複数周波数方式二ビームパルスドプラー法を用いて、三次元的な方向と流速を有する心臓内血流を定量的に計測し、これに基づいて心機能を解析することにある。 初年度の成果としては、健常例では心長軸断面における二次元左室流入血流ベクトルは従来想定されていた僧帽弁輪の法線方向より約10°後方に向かうという結果が得られ、このため従来の心尖部、やや前方からビームを入射する一ビームドプラー法による計測では、ドプラー入射角の補正が過小となり流入血流速を過小評価するという問題点があることが明らかとなった。本年度は、局所壁運動異常が心腔内血流の方向に大きく影響するのではないかと考えられるところから、心筋梗塞における二次元左室流入及び駆出血流ベクトルの計測を行った。その結果、左室流入血流の方向は前壁中隔梗塞では左室造影像から評価した前壁中隔の拡張期壁運動の低下度と逆相関して後壁側に偏位し、逆に後・下壁梗塞では後・下壁の拡張期壁運動の低下度と逆相関して前壁中隔側に偏位した。このとこは一ビームドプラー法で計測した左室流入血流速は、後・下壁梗塞ではあまり誤差がないものの、前壁中隔梗塞ではかなり過小評価することを意味する。従来、前壁梗塞は下壁梗塞に比べ、また壁運動異常が高度となるほど、左室急速流入最高血流速は低下するとの報告が多いが、このような結果には血流方向の影響による一ビーム法での計測誤差の影響が含まれている可能性がある。事実、今回の検討で前壁中隔梗塞の高度壁運動低下群で急速流入最高血流速は健常例より高値を示すが、ピークからの減速は速やかで拡張早期の流入血流量としては低下している例が見出された。一方、駆出血流の方向は健常心筋側と反対側に偏位し、その絶対流速は左室駆出率と相関した。今後三次元血流ベクトルを計測し、さらに詳細な検討を進める予定である。
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