研究課題/領域番号 |
62480218
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
泰江 弘文 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40174502)
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研究分担者 |
藤井 裕巳 熊本大学, 保健管理センター, 助手 (40199295)
松山 公士 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00190546)
小川 久雄 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50177135)
奥村 謙 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20185549)
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キーワード | 冠動脈の攣縮 / マグネシウム / ヒスタミン / FPA |
研究概要 |
本年度は冠動脈の攣縮の発生機序を明らかにするために次の3つの焦点にしぼって研究を進め見るべき成果が得られた。 1.Mgがヒト摘出冠動脈を拡張することが明らかとなったのでMgの投与により冠攣縮が抑制されうるか否かを調べた。異型狭心症15名を対象として運動によって誘発される発作に対するMg0.54mEq/kgの点滴静注の効果をプラセボのそれと比較した。プラセボでは11例において発作が誘発されたがMg投与後は2例のみにおいて発作が誘発された(P<0.01)。過呼吸により再現性をもって発作が誘発される異型狭心症20例において。Mgの投与は14例(70%)において発作を完全に抑制した(P<0.01)。以上からMgは冠攣縮を抑制することが明らかにされた。 2.ヒスタミンH_1受容体と冠攣縮との関係を明らかにする目的で異型狭心症患者16例にシメチジン25mg/kg投与後、ヒスタミンを2μg/分、冠動脈内に注入した。冠動脈内注入時の平均冠静脈洞ヒスタミン濃度は6×10^<-8>Mまでとなり、内皮依存性弛緩をきたす濃度となった。ヒスタミン注入により21本中4本の冠動脈に攣縮が誘発されたが14本では冠動脈は拡張し、残り3本では不変であった。冠攣縮は血管平滑筋の過敏反応、後者は内皮依存性弛緩と考えられた。 3.冠攣縮と血小板およびトロンビンとの関係を明らかにする目的で冠攣縮性患者12例で過呼吸により誘発された発作の前後に血漿β-thrombo-globulin(BTG)およびfibrinopeptideA(FPA)を測定した。発作後に血漿FPAは2.0±0.4ng/mlから10.0±2.4ng/mlへと有意(P<0.01)に上昇した。血漿BTGの変動は有意ではなかった。このことから冠攣縮によりトロンビンが活性化されて血栓が成形され易くなることが明らかにされた。このことは冠攣縮か冠動脈内血栓形成を介して急性心筋梗塞の引金となりうることを示唆する。
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