研究課題
超音波ドプラ法により冠血流の分析を本年度はカテ-テル先端に採触子を装着した20MHzの高周波ドプラ装置にて観血的に施行した。特に狭心症や心筋梗塞における冠動脈狭窄における血流評価を的した。冠動脈に高度狭窄が進展すると、安静時既に血流速パタンに変化が生じ得ることが開胸時臨床モデルの解析から明らかにされつつある。今回はかかる血流異常の問題を非開胸下で解析するため以下の検討を行った。心臓カテ-テル検査に際してカテ先にドプラ血流計(3F2OMHz)を左前下行技近位部に留置し、血流速パタンを補捉した。パルスドプラのサンプルボリウムを採触子から3mm〜5mmの部位で血流シグナルを検出すると収縮期に小さな流速ピ-クと拡張期に台形を呈する速い血流パタンが記録された。これ冠動脈血流の特徴的パタンであるが、冠動脈狭窄を有する病的血流パタンは多少変化が認められた。即ち、拡張期最大血流速は狭窄例で非狭窄群に比し軽度低値を示したが、収縮期最大血流速は両群間では差を認めなかった。収縮期/拡張期血流速比は狭窄群において有意に高値を示した。PTCA成功例ではかかる収縮期/拡張期血流比の低下をみた。この様な収縮期/拡張期血流比異常の進展は虚血性心疾患の病態を採る上で重要と推察されるが、冠動脈狭窄が高度でないとその変化が著明とならない等、今後、評価方法において検討すべき問題が残された。
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