研究課題/領域番号 |
62480226
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡辺 一功 名古屋大学, 医学部, 教授 (80135368)
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研究分担者 |
根来 民子 名古屋大学, 医学部, 助手 (40172754)
前原 光夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (10192329)
水谷 直樹 名古屋大学, 医学部, 助手 (10115636)
森島 恒雄 名古屋大学, 医学部, 講師 (90157892)
慶野 宏臣 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 室長 (30090426)
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キーワード | 周生期脳障害 / 新生児脳波 / NSE / 神経ペプチド / 高アルギニン血症 / ホモアルギニン / サイトメガロウイルス / 持続感染 |
研究概要 |
周生期脳障害の成因・治療・予後・予防について多面的に検討し、以下の結果を得た。 1.新生児脳波による周生期脳障害の診断と予後判定について検討し、脳波の記録時期にによる判定基準、極小未熟児における異常脳波の分類と予後の判定基準を明らかにした。神経生化学的には、NSE、Sー100蛋白及び神経ペプチドの測定系を確立し、生理学的検査とともに予後判定のモニタリングシステムの一部として測定を行なっている。 2.先天性代謝異常における脳障害の発症機序解明の目的で、高アルギニン血症の際のアルギニン、ホモアルギニンの動態・代謝について検討を行なった。その結果、ホモアルギニンがアルギニン・アンモニアとともに脳障害に関与していることが推定された。マウスを用いたホモアルギニンの毒性実験において、神経症状の発現はみられなかったものの、血中のみならず、脳・肝・腎などの各臓器にホモアルギニンの著明な蓄積が認められ、本症の臨床症状の発現に対する関与が示唆された。又、アルギナーゼ欠損に伴なうホモシトルリン、ホモアルギニンの側副経路の活性化を示す結果も得られ、現在、マウスのモデルで検討中である。 3.サイトメガロウイルスなどによる胎内感染とそれに伴なう神経障害については、ヒトNeuroblastoma及びGlioma,Glioblastomaの樹立細胞系に対するウイルスの増殖と潜伏感染成立の程度を各神経系細胞とヒトサイトメガロウイルス標準株であるAD-169と分離株のそれぞれの差異を調べたところ、標準株・分離株それぞれよく両神経系細胞で増殖し、又潜伏感染も起こしやすかった。したがって、神経病原性の発現はウイルスの株間の差というより、感染成立の時期、感染経路が問題となることが分かった。今後、サザンブロット法に加えて、PCR(DNA増幅器)を用いて脳内の微量なウイルスDNAの検出に焦点をあてていく。
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