研究概要 |
先天性代謝病の研究は, 細織あるいは単一種の細胞群のホモジチートを用いて行われてきた. しかし, 代謝病の病態を研究するにあたっては物質の動的代謝を知る必要があり, このため培養細胞系に対する特殊な物質の負荷試験が開発されてきた. ただ, この方法では実際の生体での代謝を研究するには種々の難点がある. この点を補う目的でマイクロインジェクターを用いてモデル動物のある限局された組織への物質注入で, その物質の代謝を研究することを試みた. 本年度は入手の簡単なTwitcherマウス(Krabbe病)を飼育し, その病態を研究することを主要目標とした. 本疾患はGalacto-cerebrosidase欠損によることが明らかにされている脱髄疾患であるので, マウスの産骨神経を材料として, 脱髄の進行に従って, そこでの糖脂質の代謝の変化を解析した. 坐骨神経に^3Hラベルのガラクトーマを加えることにより生成されるGalactocerebroside Psychosineの量的変化の解析は現在進行中であるが,脱髄の進行にともない, 前者の急減と, 後者の急増とがあり, 本疾患で, 何故Psychosineが蓄積するのかという疑問に解答できるのではないかとの期待がもてる. 次年度は, 中枢神経における代謝をも追求したいと考えている.
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